Nicotto Town


モリバランノスケ


老クスノキ

今から、Lunchtime。席に付くのは、私達夫婦と、お蝶、チヤム、ピョン太、ウサコの五名。私共は、いつものように、自家栽培焙煎したCoffeeとクッキーを。他の者達は、それぞれに、好物の蜂蜜、魚粉、落花生、ブロッコリーを食する。

食堂の窓からは、まるで、春を思わせる柔らかく暖かい陽光が差し込んでいる。みんな、とても気持ちが良さそうに、ユッタリとした気分に浸っている。特に、お蝶は、久し振りの飛翔をしたためか、ウトウトと眠り出しそうな表情。
そんな彼女に、兎のウサコが、優しく労るように話し掛けた。(あの後何処に飛んでったノ)

お蝶は、その声で目を覚ましたかのよう。ハリのあるハツラツとした声で、ウサコに返事を。
<そう。あれから、老クスノキさんの所に行ったノ。彼と話が出来て、とても良かった。何より、とても楽しかった>と、内容を報告する。

私達が暮らす、このログハウスは、豊かな森の中にある。そこには、様々な種類の植物達が生息している。竹、杉、檜、黒松、紅葉、などの落葉樹、常緑樹、針葉樹の林が、山を覆うように点在している。樹間に拡がる広場には、春から秋にかけて、赤、白、紫、橙、青、色とりどりの花を咲かせる低木や草木が息づいている。

そんな中で、際だってその姿を見せつけているのはクスノキの群落。数10本にはなるだろう。春、遠望すると、全山が黄緑に萌えている様に見えるのは、そのためだ。中でも、樹齢1500年(少しオーバー?)と思われる老木は、世界の真理を探求し続けている哲学者のようで、その姿勢は、誰もが一目も二目も置く存在である。

今迄、お蝶がここに滞在する時、必ず訪問して親しく会話する相手は、彼女が日頃から尊敬してやまない、この老クスノキである。




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