消えたクリスマスケーキ?~お客様バージョン~
- カテゴリ:自作小説
- 2024/02/04 22:40:19
その女性はあるお屋敷へと向かっていました。
なかなか来たくてもこれなかったんだもの。
それにしてもどんな人でしょう。
あれほどの物を作る人間なら・・・普通の人間とは違うのじゃないかしら?
そんなことを考えているうちにお屋敷へとたどり着きました。
門からしばらく歩いて玄関にやってくると呼び鈴を鳴らして、
「ごめんください」と声を掛けました。
すぐに執事らしき男性がドアを開けてくれました。
「こんばんは。何かご用でしょうか?」
あら、賢そうな人ね。執事さんと言っていたから・・・もしかしてこの人かしら?そう思いながら、
「ある理由でこちらにいらっしゃる方にお会いしたくて伺いましたが・・・チョコレートケーキをお作りになっているという執事さんに取り次いでいただけないでしょうか」
「はい、私がその執事でございますが」
「実はあなたが作ったケーキをお店で頂いたんですけれど、とても美味しかったので、どうやって作っているのかぜひ教えてもらいたいと思って伺いましたの」
「そうでしたか。あのケーキを気に入っていただいて・・・それでこちらまでわざわざ。
申し訳ありませんが、少々お待ちいただけますか?」
セバスは階段の上にいたお嬢様の所まで行き、お客様を屋敷内に案内して良いものかと尋ねに行きました。
無事お嬢様の了解を得たセバスは、まず客間へとお客様を案内しました。
いつもお客様にお出しするバラのチョコレートと紅茶を準備して運んでいくと、彼女は礼を言い、チョコレートを食べ終えると、ここ数年の自分のチョコレートケーキ愛について長々と、そして熱く語りました。
にこやかな表情で話を聞いていたセバスでしたが、もう夜になってしまう時間でしたし、クリスマスまでもあと少しなのでお客様には悪いと思いつつも早めに用事を済ませられないものか・・・と内心思い始めていました。
「それで、ぜひとも美味しいチョコレートケーキの作り方を直接伺わなくては!と思いましたの。お願いできます?」きらきらした瞳で彼女はセバスをじっと見つめました。
「ええと・・・簡単にご説明いたしますと、
申し訳ございませんが、あのチョコレートケーキのレシピはお伝えしかねるのです。
あのケーキは普段このお屋敷でもお客様にお出ししているケーキの一つなのですが、お客様の皆様からこちらにおいでにならない時でもお食べになりたいというご要望を頂きまして。
ちょうどあのチョコレート菓子のお店の店主様からも、私のケーキを店に置きたいと頼まれておりましたので、そちらにお渡しして、お客様に楽しんで頂くことにしたのです。
あのお店には品質の良いカカオバターやチョコレートを分けて頂いていましたので、お店にもお役に立てて喜んでいるところです。
あのチョコレートケーキはお店の看板商品にもして頂いているので、レシピやコツについてお教えするわけにはいかないのです」
「そんな~!( ;∀;)私は今度いつこちらの地域に伺えるかもわからないので、どうしても知りたくて来たんです。どうにかなりませんか?」
と頼む彼女でしたが、執事は表情一つ変えずに大変申し訳ないですが・・・と受け入れてくれそうにありません。
やっとここまで来れたのに、あのケーキはもう食べられないのか・・・彼女はうっすら涙を浮かべ始めました。
すると、
「あの、もしお客様がよろしければ、ですが・・・他のチョコレートケーキのレシピを一つお教えいたしましょうか?あのお店のレシピ以外なら構わないのです。
あのお店に御迷惑にならないようにしたいだけですから。
今クリスマスケーキの試作品も作っておりますから、そちらを試食なさってみては?」とセバスが声をかけてきました。
「え?あれ以外のものなら構わないんですか!
(あれほど美味しいなら他の物だって絶対美味しいわよね✨)
是非!ぜひ知りたいです。実は妹がチョコレートケーキをなかなか上手に作るのですよ。私は食べる専門ですけど(´艸`*)
レシピを知ることができたら妹がきっと美味しく作ってくれると思いますの」
「それでは申し訳ありませんが、キッチンの方に移動をお願いしてもよろしいでしょうか?」とのセバスの誘導に従って、彼女はうきうきしながらキッチンまで弾む足取りで向かいました。
キッチンのテーブルの上には、真っ白な生クリームとイチゴの美味しそうなクリスマスケーキが置いてありました。
「あら、美味しそうね~❤」
「少々お待ちくださいね。チョコレートケーキもございますので、棚から出してまいります。レシピもお持ちしますので・・・」セバスはレシピブックを開いて、その中身をチェックしています。
(ああ、そうだ。昨日作ったチョコケーキはあの店のケーキに近いな。これにするか)
伝えるレシピを決め、ドアの方へ振り向くと、何やら人の気配がしたような?そんな気がしました。
もしかして、お嬢様がいらっしゃったのかな?('ω')
ドアのほうまで歩いて行き、外を見るともう誰もいない様子でした。気のせいだろうか?
お客様の所へ戻ると、ケーキをじっと見つめキラキラした瞳をより輝かせていました。
早くお茶もお出ししなくては。
ポットに火をかけてから、残りの試作品のクリスマスケーキを
棚からだしました。
「お待たせいたしました。チョコレートケーキが三種類と生クリーム、フルーツケーキもございますが、お好みの物はどちらでしょう?」と聞いてみると、
「あら~どれも美味しそうで迷っちゃうわ。
うーんと、チョコレートケーキはもちろん頂きたいわ!
それから生クリームと・・・やっぱり全部食べてみたいわ!」
「そうですか。ではひと切れずつお出ししますね」セバスはにっこりと笑顔で答えました。
「アールグレイティーとご一緒にどうぞ」
「ありがとう。いただきます❤」
美味しそうにケーキを頬張る彼女を見ているうちに、この人はかなり美しい方だったんだなあ・・・とのんきに思うセバスでした。
一切れずつどころか、お気に入りには二切れも食べ終えたその美しいお客様はふう~✨と満足そうにため息をついて、
「本当にこれほどまでに美味しいものは天国の味といってもいいくらいですわ!」と幸せそうに言いました。
「レシピはこちらにご用意いたしました。それから、
やはりケーキがあった方が味もはっきりと分かりますから、このレシピで作ったチョコケーキもお持ちください」
「ありがとう!それからこの生クリームのケーキもだめかしら?」と彼女が聞いてきたので、「もちろん構いませんよ」
とそのケーキも手持ちで持っていけるように準備して渡しました。
「今日は本当にありがとう!あなたのおかげでこれからは特別に美味しいチョコケーキを食べて暮らせるわ」と言い残し美しい彼女は帰って行きました。
セバスがキッチンに戻ると、さっきまでお客様が座っていたイスに、綺麗な真っ白い羽が一つ落ちていました。
あれ?この羽はどこから??
それはあの姉天使の羽でした。美味しいケーキに興奮しすぎてしまって、思わずセバスの見ていない所で羽を出してしまったのでイスにその羽が・・・✨
美しいお客様がまさか天使だったとは、さすがのセバスにも想像もつかなかったのでした。
ちなみに姉天使が出かけたお店のお話はこちら
↓
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1640941&aid=71028223
何時もおおきに_(_^_)_
花金^^
昨日あんなに暖かったのに
今日は一転、冬に逆もどりやね。
今はあまり風吹いてないけど、寒くなりそう。
もう体がついていかんな(・_・;)
明日は、岡山日生に月一の窓開けと
姫路に入院してる義母のお見舞い。
今が旬、新鮮な牡蠣も持って帰って来るよ^^
と言う事で、
明日はお休みしますm(__)m
宜しくお願い致します。
今日も明るく楽しく元気よく、
素晴らしい笑顔で素敵な花金をお過ごし下さいませ^^
いつも有難うございます。
そしてアールグレーの紅茶で〆とは。。
私も食べた気分になりました㋵(^_-)-☆
わぁ セバスの作るケーキを食べたいと思ってしまったよ。
どんなケーキなのかな?
美しいおお客様が天使だったとはびっくりしました~♪
繋がりのある楽しいお話をありがとう セバスのお話
次回も楽しみにしてるね。
あの美しいお客様はチョコレートケーキが大好きな天使さんだったんですね(^^♪
ケーキが消えたのはやっぱり彼女が持って帰ってたんですね(๑´ლ`๑)
お客様がまさかの姉天使さんでしたとは。
てっきりセバスのお知り合いかと思ってました。
随分沢山召し上がったんですね( ´艸`)
いつもおおきに_(_^_)_
いやはや、寒いね。
暖かくして、お過ごし下さいませ^^
今日は、義母のお見舞いに姫路行って来ます。
今日も明るく楽しく元気よく、
雨風雪にも負けず、爽やかな笑顔で素敵な1日をお過ごし下さいませ^^
お客さまは天使だったのですね。♪
最後まで読んで、お客様の正体にびっくり!
ふたつのお話が繋がっていたのですね~(´∀`*)
こういう仕掛け大好きです。