Nicotto Town


モリバランノスケ


対話

今朝も、愛犬のクリを散歩に誘った。これは、私の運動も兼ねた習慣。庭に出来た雪道の中、農業用ハウスの周りなどを、一緒に歩いた。
クリは、喜々として、飛び跳ねるように走り回っている。自分も、愉しみながらついて行く。

老エゾマツの側を通る時、(おはよう御座います)、と、声を掛ける。私は、大空を遮るように枝を拡げた大木を眺めた。見上げるときに、背筋をピンと伸ばさねばならないが、気持が良い。樹肌などから、判断したところ、体調は良い様子。<おはよう>と言う彼の返事を聴きながら、いつものように二人の対話が始まった。

彼の話は、いつも、決まって、先ず、我ら人類への批判から始まる。

自分たち植物類が、人類の限りのなき独占欲から始まる横暴にいかに苦しんできたか。文明、技術、発展の名のもに、いかに痛めつけられてきたか。絶滅した仲間達の事、等など・・・・

しかし、彼の話は、人類への恨みつらみに終始しているわけではない。彼の在る場所は、苦しみ抜き、痛めつけられた先にたどり着いた有り様であった。

そこは、世の真理を把握した、言わば悟りの境地なのだ。だから、聴いていて、大いに納得がいく。私の心と考えに、コトンとハマるのだ。

実を言うと、彼との対話は、本当の友達、真の自分と出合えた、至福の時なのである。




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