Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


小説の終わり方

今、パソコンの中の書類フォルダーに、たぶん、とても昔に書いた短いストーリーが出てきたので、読んでみた。
面白い。
どうやってこうゆうアイデアを思いついたの?
とこれを書いた時のおれに聞いてみたい。

このストーリーは短く、ちょっと半端なところで終わってるような感じもするのだが、いや、これでも終わり方としてはいいのかも?と思った。

なんというか、こうゆうところで終わることによって、この小説がどこかに存在する現実世界の一部を切り取って、そのまま見せられたような感覚になるからだ。

ここ最近はずっと「キラとニクラの大冒険」を連載しているので、たまに他のも載せてみよう。

気が向いたら、読んでみてくださいな。






くしゃみ



へいっ、ぶしっ!!


くしゃみをしたら口から金貨が一枚、床へころりんと転がった。


表にシュガーメープルの葉、裏にヘラジカの頭蓋骨(もしくは逆かも知れない)の模様が刻まれていた。
カナダのコインにも似ているが、しかし、セントでもドルでもなく、@マークのような記号単位で2と記されていた。

ふしぎなこともあるもんだ。



景観を損ねるという理由でこの街の建物は全て一色で壁と屋根を塗られていなければいけない。
それも、白、赤、黄色、青、緑、紫、のどれかだ。

この地区は白、あの地区は赤、といった具合に塗らねばならない色も決められている。
道路は全て白である。


海に浮かぶヨットは全て赤、人々が着る服は全て緑、と決まっている。



おれは緑色の半袖シャツと短パン、緑色のスニーカーをはいて、白い通りに出た。

おれが住むこの地区は、建物が全て黄色だ。


となりの赤い地区に確か古道具屋があったので、そこにさっきおれの口から出てきたコインを見せに行ってみるのだ。



古道具屋のおやじは、
「そうだにや、これはまっことめんずらしいコインで古代おれごん帝国で使われていたと推測されている謎の多いコインだにや。」
と、興味津々で、一眼レンズで濃厚にねっとりと眺めながら言った。

なにかおやじはそれを食べてしまいたいほどに興味を持っているようなので、少し警戒したおれは礼もそこそこにおやじの手からコインをもぎとってそそくさと店を出た。



帰り道、レイという女に会った。


彼女はこの街から2年前に船に乗って男と隣の国へ亡命したはずだった。

カフェに入り、話を聞くと、どうやら男とはひどい別れ方をし、この国へ面倒な手続きの末、帰ってきたらしい。

他の世界を見てきたレイなら、もしや、と思い、試しにコインを見せてみた。

レイは首をかしげ、知らないけど、とっても綺麗。と笑った。
久しぶりに見るレンの笑顔はやはり、花びらがほどけたようにきれいだった。

レイは今から仕事の面接がある、というので、また今度の日曜に夕食の約束をして別れた。




炎天下、白い道のはじでうなぎがうろんうろんともだえ苦しんでいた。

レストランへ食材を運搬しているトラックから何かの間違いで道へ放り出されたのであろう。

かわいそうなので、うなぎをズボンのポケットへ入れて家へ持ち帰る。

ペットボトルに水を入れて、その中へ入れる。

バイクで山へ行き、川へ戻してやった。
うなぎは流れに乗ってすぐに見えなくなった。



清々としたいい気分で家に帰り、パソコンを開く。

インターネットでコインについて調べてみる。

しかし、このような模様のコインについては情報がない。

古道具屋のおやじが言ってた「おれごん帝国」のコインについても調べてみたが、似ているけれど違っていた。


コインマニアや、専門家のサイトへ行き、コインの模様等の詳細を書いて質問のメールを送る。


それから、昼寝をする。



夢を見た。



世界の全てのものがやわらかいグミのようなもので出来ている夢だ。

道路がぶよぶよしていて歩きづらい、という苦情が政府に相次ぐが、しかし、すべてがぶよぶよなことでケガをする人間が1000分の一以下に減ったということを考えれば、やはり、もとの固く危険のある世界に戻すわけにはいかない、というのがいつもの政府の回答であった。

そのうち、スキンヘッドの強硬派が「固いもの」を作り、やわらかい世界を変えようと「固いもの」に乗って街中を走り回った。

そのため、けが人が続出し、政府自衛団は強硬派としばしば衝突した。

ニュースでは今日の衝突でのけが人は○名、というのがしばらく報道されていた。

その「今日の衝突でのけが人、政府自衛団側2名、強硬派側6名、」という夢の中でのアナウンサーの声と、現実でのラジオの天気予報の声が相まって、脳が混乱しながら目が覚めた。



もう4時だった。
床はしっかりと固く、夢だとはわかっていたけど、ああやっぱり夢だったんだな、という思いだった。




夕食のしたくをするため、バイクで海辺にある市場へと向かう。



市場ではその日の朝水揚げされた新鮮な魚介類をメインに、野菜、香辛料のもろもろも売っている。
肉は羊一頭、牛一頭などそのものを売っていることが多い。

タラを一匹、イカの塩辛などと、野菜も買って市場を出る。



たまたまだった。


嬉しかった。


たまたま、そこでまたレイに会った。



レイのほうも嬉しかったようで笑顔で駆け寄ってきた。

面接の出来について少し話をしてから、結局おれの家でふたりで料理をすることにした。

レイはバイクの後ろにまたがって、遠慮がちにおれの肩につかまった。


おれはうきうきした気持ちでバイクのスターターをまわした。

アバター
2023/11/09 09:52
確かに。
そのコインの謎や、レイさんとの恋がどうなるのか、もう少し描いても良さそうかもですね。
間違えてるところ、指摘してくれて、ありがとうございます〜!
全く気づいてませんでした!
アバター
2023/11/08 17:59
キラとニクラが追いついてないのでこっちを先に読んじゃいました。

こちらも面白いお話ですね~謎のコインが何なのか・・・私もここ1週間位くしゃみばっかりだったので、コイン出てくるなら嬉しかったんですけどね(笑)

あと前半女性のお名前がレンさん→後半レイさんになってます。読み流すべきか思いましたが、他の方も読まれると思ったので(^^;



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