Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


キラとニクラの大冒険 (35)

ニクラとキラは、いったん行くのをやめて図鑑でその貝を調べることにした。
貝類の項目を見ると、ページの下のほうにその貝のことが載っていた。
花貝という種類の、やこ貝という名前の貝だった。
生でも、焼いたり茹でたりしても食べられる貝らしく、力が強いので、手や足をはさまれないように。と、注意書きがあった。
ぱっぱっぷすは、もう食べてみよう!!と、せっかちに言った。
それで、まずは貝をあけてみることにした。
ぱっぱっぷすが頑丈そうな木の枝をわずかにあいている貝のすきまに入れて、ニクラとキラは貝がひっくり返らないように押さえた。
ぱっぱっぷすは顔を真っ赤にして、ふんふんと力を込めて貝をあけようとしたけど、貝はびくとも動かなくて、ついには木の枝が、ばきっ、と、折れてしまった。
ぱっぱっぷすは勢い余ってひっくり返って、くそぅ!と、悪態をついた。

そこでニクラはもう一度図鑑を見てみた。
図鑑の後ろの方に「貝類の調理方法」という項目を見つけてページを開くと、ちゃんとやこ貝の開き方も載っていた。
やこ貝を真水につけておくと、夕方になって空が薄暗くなったころにひとりでに貝が開くらしい。
開いた貝から身を取り出さないで、水につけたままで火にかけて茹でてしまうのが一番簡単な方法。と、書いてあった。
身を取り出そうとして手やナイフを入れると、反射的に貝が閉じてしまうことがあり、とても危険らしい。
もし生で食べたければ、貝が開いたあと、水を入れた容器をひっくり返して、貝の裏側を木槌でコンコンと優しく叩くと、身がひとりでに貝から出て行くようだった。
もちろん、そのときは貝に手を挟まれないように細心の注意を払うように。と、書かれていた。

ぱっぱっぷすとキラにそれを伝えると、やこ貝はいったん水につけておいて、もう少し食べ物を獲りに行くことにした。

でも、やこ貝が入るほどの大きな器が無いので、岩場のくぼみにたまっている雨水の中につけておくことにした。
ニクラとぱっぱっぷすはやこ貝に挟まれないように慎重にやこ貝を岩場のくぼみに運んだ。
それから、ふたりはまた海へ魚を突きに、キラはポルコと木の実を探しに行った。

海の中は川や湖と違って、うねりがあるのでニクラとぱっぱっぷすは魚を突くのに手間取ったけど、少しづつ海の中で身体をうまく使うコツを覚えていった。
見たこともない生き物たちがたくさんいて、ふたりとも潜っているだけでも楽しかった。

そのころ、キラとポルコは浜辺の近くにあるこんもりとした小さな森のなかを探索していた。
キラは念のため、ポケットに金色の粉と黒い泥だんごを入れていた。
海辺の森には見たことのないきのこがたくさん生えていた。
キラは食べられるかどうかわからなかったけど、あとでニクラとぱっぱっぷすに聞いてみようと思って、いくつかのきのこを採った。
それから、もう少し進むと、今度は見たことのない大木が何本か生えていた。大木の幹には無数の穴があいていて、穴をのぞくと、小鳥の巣があった。
別の穴をのぞいてみると、ひとつひとつの穴にそれぞれ鳥の巣や蛇の巣、リスの巣、蟻の巣、蜘蛛の巣があって面白かった。
キラはそのうちのひとつに、大きなハチの巣があるのを見つけた。
キラは蜂蜜が大好物で、ひいおばあちゃんにハチの巣の捕り方を教わったことがあった。
よく観察してみると、キラがよく食べていた蜂蜜と同じ種類のハチのようだった。

この種類のハチは巣を作るのがとても早く、1週間のうちに2つ、3つとつぎつぎにその周辺に巣を作ってしまうこともあった。
ひとつの家族で、300匹くらいのハチがいて、10以上ある巣のひとつひとつに移動しながら暮らす習性があった。
幸いにも、今キラが観察している巣には、ほんの2、3匹のハチがいるだけで、今はハチの家族は別の巣を住処にしていて、この巣は留守のようだった。
キラはきのこを入れていた布袋からきのこを出して、使うことにした。
少し離れててね。と言いながら、ポルコを離れたところに連れていった。
キラは布袋に両手を入れて、ゆっくりとハチの巣を持って、木の穴から出した。
そのまま布袋を裏返して、ハチの巣を袋に入れた。

ハチの巣をとる時は怖がってはいけないんだよ。ゆっ、くり優しく取ればいいだけなのよ。
このハチはね、すぐにまた別の巣を作るから、心配しなくて大丈夫よ。

と、ひいおばあちゃんの言葉を思い出していた。

キラは大好きな蜂蜜をとれたことがとっても嬉しくて、早くニクラとぱっぱっぷすにハチの巣を見せたくなった。
袋から出したきのこをズボンのポケットに入れて、浜辺に戻ることにした。

キラとポルコが浜辺に戻ると、ふたりはまだ海へ潜っているらしく、テントには誰もいなかった。
キラは、ふたりが戻ってくるまでにハチの巣から蜂蜜を出すことにした。

蜂の巣から蜂蜜を採るためにはまず、木枠が必要だった。
ひいおばあちゃんの家では、長年使い込まれた上等な蜂蜜を絞るための木枠があった。
でも、いまはそれが無いので、キラが自分で木枠を作ってみることにした。
ちょうど良さそうな流木を拾ってきて、組み合わせてみた。
でも、うまく組み合わないので、ナイフで木を削ってみることにした。
キラはナイフや木を使って、ものを作ったことが無かった。
ニクラはいつも上手にナイフやナタを使って、いろんなものを作っていたので、キラは見よう見まねでやってみた。
でも、上手にナイフを使えなくて、手をすべらせて指を少し切ってしまった。
キラは傷を布でしばって、それでもナイフで木を削り続けた。
ニクラはいつもするすると果物の皮を向くように簡単に木を細工していたけど、じっさいにやってみるとそんなふうには出来なかった。
でも、キラは何とか木を地面に刺して石を置いたり、工夫して組み木を作り上げた。
ひいおばあちゃんの家の木枠とは全然違ったひどく不恰好な形のものだった。
それでもなんとか組み木の上に蜂の巣を乗せて固定することが出来た。
キラは組み木の下の地面に丸木の器を置くと、ナイフで大きなハチの巣の下半分に6本の切れ目を入れた。
すると、ハチの巣の切れ目から、たらりたらりと金色の蜂蜜がゆっくり流れ落ちてきた。

やったぁあ!!

キラは飛び上がって喜んだ。
キラは生まれてはじめて自分だけの力でこんなに素敵なたべものを採ることが出来たのが本当に嬉しかった。
早くニクラとぱっぱっぷすに自慢したかった。

黄金の蜂蜜は、とろとろと流れ出て、もう器のはんぶんも満たしていた。キラは蜂蜜が流れ落ちているのを、飽きずにしばらく眺めていた。
やがて、器がいっぱいになると、キラはハナ婆が持たせてくれたガラス瓶に蜂蜜を移し替えた。
そのとき、手についた蜂蜜をペロリと舐めてみると、それはそれは素敵な香りのする蜂蜜でとても甘くてさらさらと柔らかかった。

ハナ婆のガラス瓶がひとつ満杯になったころ、ニクラとぱっぱっぷすが帰って来た。

おうい!!キラー!!
たくさん魚を捕まえたぞぅ!!!

ぱっぱっぷすがザブザブと腰から下を海に浸かりながら、魚を手にかかげて歩いてきた。
ニクラも海面に顔を出して、砂浜に上がってきた。
ふたりとも腰ひもにたくさんの魚をぶら下げている。

ぱっぱっぷすとニクラはふたりで25匹も魚を捕まえてきた。

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2023/11/11 21:00
べるさん、

ああ、なるほど。
では、読んだところまでのコメント欄に日付でも書いておいたらいかがですか?
べる、11/11(土)とか。

そしたら、コメント欄を見れば、自分が最後にいつ読んだかもわかるし。
あ、てゆーか、普通にコメント書けば、日付が出てるから、それでもわかりますね(^-^)
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2023/11/11 18:22
適材適所、でキラちゃん、ニクラくん、ぱっぱぷす、それぞれ得意な事が出来てていいですね^^

素敵な仲間だと思います♪

しかし、久々にお話読むと、前回どこまで読んだのか分からなくなるので、ここにブックマーク機能が欲しい、と切実に思います。いや、ニコタなので仕方ないんですけどねww



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