キラとニクラの大冒険 (13)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/09/29 09:40:07
ニクラは右手にナタを持ち、シダやつる草を切って道を作りながら進んだ。
キラはその後を少し離れて進んだ。
しばらく行くとニクラの背たけ3つぶんほどもある大きな岩に突き当たった。せせらぎはその岩のすぐ横をまわりこんで流れていたが、岩の周りを太い木の枝がびっしり取り囲んでいて岩をまわって通るのは難しかったので、岩を乗り越えて行くことにした。
ニクラが最初に岩をよじ登った。
ニクラは上手に岩肌のくぼみに手や足をかけて登って、後から来るキラのためにロープを垂らした。
片一方を岩の横にある木の幹にくくりつけた。
上からキラに足をかける位置を教えながら励ました。
キラはニクラより身体が小さいので時間がかかったけど、なんとかロープを使って登り切った。
岩の上は思ったより広かった。
この岩の向こう側の森はずっと下っていて、ずっと遠くにある海まで見渡せた。
木々の間からはるか向こうに見える海は太陽の光でキラキラと輝いていた。
ふたりははじめて見る海に興奮して声をあげた。
キラ!海が見えるよ!!
ほんとう!すごいわ!!
ふたりはしばらく遠くに見える海を眺めていた。
生まれてはじめて見る海は途方もなく大きくて、想像していたよりずっとおだやかに見えた。
ふたりはしばらく眺めてから、けっぺるに行かなくてはいけないことを思い出した。
ニクラ!こうしちゃいられないわ!早くけっぺるを探さなくちゃ!
キラは岩を登って手足がクタクタに疲れていたけれど、先を急いで岩を降りようとした。
キラ、ちょっと待って。
このロープを使おう。
そう言うと、ニクラは木の幹につながっているロープの反対側をキラの腰に巻いてしっかりとしばった。
そして、その間のロープを自分の腰にまわしてから握った。
キラが岩に取り付くと、ニクラはロープをしっかりとひっぱってキラを少し持ち上げるようにした。
おかげでキラはらくに降りることができた。
キラが降りると、木からロープの結び目をほどいて、今度は大きなわっかにして、片方を木の幹に、もう片方を自分の腰に巻いた。
そうやってニクラもらくに降りることができた。
降りてから腰のロープの結び目をほどいてロープを回収した。
ニクラって冒険家みたいね。
キラは笑いながら言った。
せせらぎはどんどん下へ下へと下っている。
その辺りになるとせせらぎの両側は低いつる草や雑草ばかりになっていて、進みやすかった。
木々はなぜか朽ち果てて倒れているのが多くなってきた。
しばらく進むと、急にそこだけ森がはげていた。大きな丸い広場のようになっていて、そこだけ草も木も何も無く土がむき出しになっていた。土は、奇妙な黄色で、周囲を丸く森がかこんでいたけど、そのまわりの木々も奇妙な色になって朽ち果てていた。
まるで森のおへそみたいに見えた。
せせらぎは、はげた地面の真ん中をくねくねと進んでいた。
はげた広場の真ん中あたりまでくると、唐突に地面に穴が空いていて、せせらぎはその穴の中に落ちていた。
キラとニクラがひとりづつ通れるくらいの大きさだった。
ニクラとキラは、けっぺるはきっとこの穴の底のことだと思った。
ニクラ、きっとこの穴の底がけっぺるだわ!
うん、そうだね。ぼくもそんな気がする。
そう言うとニクラは火箱を取り出して火を付けると、穴のふちに腹ばいになって、火箱で中を照らした。
キラ、この穴、ぼくたちの背丈くらいまで下におりてから、もぐらの穴みたいに折れ曲がって横に進んでいるみたいだ。
ニクラは腹ばいになって穴の中をのぞきながら言った。
ぼくが先に行ってようすを見てくるよ。
そう言うとキラは、
わたしも一緒にいくわ。
と、はっきりとした口調で言って、バックパックを背中からおろした。
中にどんな危険があるかもわからないから、ナイフを持っていこう。
それから、
ロープも使うかも知れない。
ニクラは緊張した面もちでぐるぐる巻きにしたロープを自分の肩にたすき掛けにして、ナタを腰に差すと、キラにナイフをわたした。
念のため、あめしらずを木箱からだしてニクラの外套の内ポケットに入れた。
最初にニクラが入った。
穴のふちにぶら下がって、そこから手をはなして飛び降りる。
飛び降りた下はせせらぎの水たまりができていて、ばしゃっと音を立てた。
せせらぎの水は地面に吸い込まれているようで、ここで終わっていた。
ニクラのあとにキラも同じようにして穴に入った。
ニクラの思ったとおり穴は垂直におりてすぐに折れ曲がって横に続いていた。
穴は狭く、ふたりとも四つんばいにならないと進めなかった。
横穴に入ると、太陽の光はまったく届かなくなって、真っ暗闇になった。
ふたりとも怖くなってなにも話さずに火箱の小さな明かりをたよりに進んだ。
穴の中のしっとりと湿った冷たいくうきはふたりをより怖がらせた。
穴は途中でもっと狭くなって、はらばいにならないと進めなくなった。
とても狭く暗い穴の中で腹ばいになるのは気持ち良くなかったけれど、ふたりともなにも言わずに我慢していた。
また少しづつ穴は広がっていき、もっと進むと、今度は立てるほどに広いほら穴になっていた。
よこ幅も広くなったのでふたりは並んで進むことができた。
とってものどが乾いていたけど、水筒を持ってこなかったので、持ってくれば良かったなあと、ニクラは思っていた。
キラはすごく怖くて、きっとひとりだったらとちゅうで引き返しちゃうかも知れないな、と思っていた。
でも、ほら穴が広くなって、ふたりは並んで歩けるようになったので、少し安心した。
穴はじょじょに下へと下っていった。下り坂は少しづつ急になっていく。
そのとき、キラが気がついた。
ニクラ、あなたの外套、光ってる。。
言われてニクラは自分の体を見てみると、たしかにあめしらずを入れた内ポケットのあたりから光がもれていた。
内ポケットからあめしらずを取り出すと、あめしらずはひし形になって青白い光をはなっていた。
そのときはキラは気づかなかったけれど、ニクラはなぜか素手であめしらずに触っているのに、かぶれることは無かった。
セイゲンさんが言ってた。
あめしらずは光るんだゃ。危険を知らせて人間を守るときは青だゃ。あめしらずが青く光ったら注意すんだゃ。
なにかあぶないものがいるかもしれないよ。気をつけて進もう。
ニクラはそう言うと腰からナタを抜いて手に握り、キラより少し前に出た。
下り坂の勾配がまたきつくなってきたので、ふたりはつま先で踏ん張りながらゆっくり進んだ。
しばらく進むと、ほら穴は二手にわかれていた。
ひだりのほうが大きくみぎは狭かった。
最初、みぎを見に行ってみよう。
ニクラはそう言うとみぎへ進んだ。キラも後をついて行く。
少し進むと急激に穴が狭くなって、また腹ばいにならないと通れないほどの穴になっていた。
穴からはなぜか明かりがもれていた。
ふたりは入るかどうか迷ったけど、入ってみることにした。
へえ〜、聞いたこと無い漫画です。
そうですね。
そもそもがこのお話は舞台もどこの国か不明だし、時代もすごく未来か、すごく過去なんです。
なので、どんどん不思議な物事が出てきます〜(^^)
そんな感じでこのお話もまだまだ未知の生物とか不思議な場所とか出てくるんだろうなぁと思って楽しみです^^あ、この漫画は人間関係もちょっとドロドロしてますが(^^;