Nicotto Town



追憶のハイウェイ

酔っ払いなので、あまり真面目に読んでいただかない方がありがたいのですが。
じゃあ書かなきゃいいだろうという話も。








ここ数日、アキ・カウリスマキの映画をずっと見ている。

フィンランドの映画監督で、恐らく日本で最初に大きく認知されたのは、「マッチ工場の少女」だったんじゃないかと思う。私が高校生か大学生の頃の映画だから、かれこれ30年くらいは前の映画ということになる。

どうでもいいのだけれど、AmazonVideoで見ていると、かの有名な「バクダッド・カフェ」がオススメでやたらと出てくる。マッチ工場の少女よりも古いので、私が高校生の頃の映画のはずだと思う。


閑話休題


生まれてこの方、52年間ほど日本に住んでいる。

フィンランドを始め、北欧の国の美しさと文化への憧れはある。
でも、やっぱり大英帝国かなとも思う。栄枯盛衰を経た渋みが唯一無二だ。音楽も個人的にはやっぱりブリティッシュロックだしね。
フランスは何度出向いても、まあいい感じだよなと思う。色々な意味で。
ドイツ。良いよな、やっぱり。戦車はドイツ軍に限る。
意外と東南アジアも気になる。ベトナム、気になるなぁ。
台湾? 悪いわけがない。
中近東は、ほんとに行ってみたい。トルコ、死ぬ前に一度は行きたい。
韓国や中国。近くて遠いような、でも近い国。韓国、また行きたいな。



どんな国にも、興味や憧れの心はある。



でも、どうしてアメリカは、それとは別の何かなのだろう。



もう1年以上、ロシアとウクライナの戦争は続いている。
なぜこんなことになったのか。




何だか同じようなことを、1年前にも書いたような気がする。




まあいいさ。




理由を列挙すれば、それは色々とあるだろう。

でも。

1991年。
ソビエト社会主義共和国連邦、通称ソ連が崩壊。
それは、この世界の現代史に於いて、おそらく最もインパクトのある出来事だったに違いない。

その時、かの国は、もう一方のかの国に問いただした。

ソ連は解体するけれど、その後のロシアを追い詰めるようなことはしないよね。
旧ソ連邦の国をNATOに引き込んで、NATOを拡大するようなことはないよね。
EUはロシアを孤立させないよね。

大丈夫だよ。
かの国は、そう言った。

そして現在。

なにもかも嘘じゃないか。
これでウクライナを取られたら、もう俺たち丸裸じゃないか。

だからと言って、無法を働いて良いという理屈にはならない。
しかしそのことを抜きに、かの国の振り上げた拳を下ろせと言うのも、どこかで筋が違う。



全部そう。



ベトナムだってそうだ。
パレスチナの問題も、みんなそうだろう。

建国から僅か200数十年。
瞬く間に世界の頂点に立つ。

強いアメリカ。

その慢心と自己都合で世界を振り回し。
収拾のつかない混沌の種を世界にまき散らし、その収拾のための戦いを自作自演かの様に起こし、そして結局は手が付けられなくなり放り出して開き直り、責任放棄をする。



こんなにも高慢な国家が、他に歴史上に存在しただろうか。



侵略と略奪と力の誇示により、わずか200年で世界の頂点に立つ。
しかしその強引な200年の歪みから逃れられなかった、白昼夢のような国家。


なぜ、こんなにも愚かな国に、こんなにも人々は惹かれるのか。


見渡す限りの砂漠と荒野の中を、果てしなく続くROUTE66。
もはやその役割を終え廃線となった今も、アメリカの象徴として消えることが無い。

若かりし頃、ろくに英語も話せないのに、札束とトラベラーズチェックだけを握りしめて、あしたどこで眠ることが出来るのかも分らぬまま、あの広大な大地を歩いた時。

最南部を東から西へと貫く10号線。
テキサスとニューメキシコをまたぐあたりで、何を思ったのかバスを降りてしまった。
目に映る景色は、まさに写真や映画で見る、あの見渡す限りの荒野。





ああ、こういう国と戦争をしても、勝てないんだ。




何故だか分からないけれど、その時に突然そう思ったことを、今も忘れられない。



何か特別なものも持ち合わせず。
何か特別な努力をするでもなく。
漫然と時間を浪費し、漫然と疑問を持ちながら足踏みだけをし、漫然と言い訳をし、漫然と年を取る。

何を成し遂げるでもなく、しかしよく分からない焦燥感に駆られ、いつも不安の中でグルグルと回り、自家中毒でも起こすかのように沈み、また同じことを繰り返す。



あの荒野を走れば、その先のどこかに行けるのか。



いや、それはないだろう。


そんな都合の良い、堕落したパラダイスは存在しない。
アメリカの真実をしらない部外者の、勝手な妄想。
しかし、何かがあるような白昼夢を見てしまいそうな。
陽炎の向こうに何かがあると思ってしまう愚かな自分を忘れ、ただ遥かまっすぐに続く道に足を踏み入れてしまう幻想を振り切ることが出いない、からっ風が吹くだけの世界。

30年前に見た、あの風景は。
いまも抜けるような青空の下、乾いた風に吹かれているのだろうか。

どんな気持ちだい。
石ころみたいに転がっていくのは。
風の中に、答えは舞っているのか。
じゃあ、つかまえてみろよ。



ビールを2本、買ってきた。
いつも通り、バドワイザーとハイネケンを、1本ずつ。
また映画でも見て、忘れることにする。
そんな毎日。
あしたの朝も、犬の散歩だ。


じゃあね。




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