Nicotto Town



今年ハマったヴァンダーグラーフ



ヴァンダーグラーフジェネレーター、通称VDGG。
ピーターハミルのワンマンバンドと思ってたけど、
春過ぎに初期から聴いてみた。ヤラレた。まとめ買いしちゃった。

まずハミルの歌詞が佳い。間違いなく重度のビョーニン(誉め言葉)。
苦手な英詩を辞書片手に訳しながら解読するのが楽しい。
現世というものにしっかり足をつけた上での諦観や絶望が素晴らしい。

次に音楽性。戦前のブルース好きはぜひVDGGを聴くべきです。
不自然でぎこちない変拍子や拍節、ハミルの絶叫や絶唱も含め、
ジョンリーフッカーやライトニンホプキンス等の影響が濃厚なので。

演奏もこれまたクセの強い巧者揃い。みなハミルの歌詞に共鳴している。
ヒューバートンのキーボードの音色は、いわゆる『プログレ』好きなら、
100%微笑するであろう時代の音。特にオルガンが絶品だと思う。

サックスのデヴィッドジャクソンがまた達人。他での活動を聞かないが、
60年代末のブリティッシュジャズ、ローランドカーク等の影響も濃厚で、
二管で同時に演奏するメロは、ジャズ好きにも受け入れられるだろう。

ドラムのガイエヴァンスは恐るべき逸材です。知らなかったのを大反省。
技術云々ではなく、ハミルのブレスや曲と表裏一体の変態ビートを、
これまたプリミティブかつ熱く、ぎこちなく奏でる。

70年代後半、米国人のグレアムスミスがヴァイオリンで参加してまして、
短期間ではあるが凄い貢献。ハードコア・ブルーグラスというべきか?
ヴァイオリンロックマニアなら聴いて損しないと思います。

他メンバーもとにかく上手い、というよりハミルに賛同し共鳴している。
ソロアルバム含め、ハミルの世界認識に共感した演奏家が集まった結果、
VDGGという素晴らしい音楽集団ができあがったんだとの感が強い。

全て聴けと言いたいが、多忙でタイパ第一の現代人には辛かろう。
数曲挙げておきましょう。ですがオリジナルアルバムで順に聴くべきです。
アルバム全てが、VDGGの作品全てがトータルアルバムと言えるのだから。

1.Darkness 『The Least We Can Do Is Wave To Each Other(1970)』

当時TVに出た時の動画でも結構。この一曲でハマる人はハマル。

2.Refugees (同上)

気味悪いくらい美しいバラード、これもハミルの魅力です。

3.Killer 『H to He, Who Am the Only One(1970)』

ブラスと共に一丸となり進むスローでラウドな演奏にメロメロになる。

4.Man Erg 『Pawn Hearts(1971)』

人間存在といった意味合いでしょう。最後まで聴けば勇気が湧きあがるかも。

5.Arrow 『Godbluff(1975)』

超絶ヴォイスパフォーマー的なハミルのデスヴォイスを堪能する一曲。

6.Still Life 『Still Life(1976)』

最高傑作との評価に納得する。歌詞、歌唱、演奏、全てが無二の存在。

7.Ship of Fools 『Vital/Live(1978)』

ライブのVDGGも凄まじい。この一曲の格好良さとハミルのギターにKOされる。

(追記)

8.Lizard Play 『The Quiet Zone/The Pleasure Dome(1977)』

ゴツゴツ変拍子、恋愛の隠喩的コミカルな歌詞、美メロも終盤に。見事。

9.Gog (Live)『Still Life(Bonus truck)』『In Camera』※ハミルのソロ

音質劣悪、でもハミルの絶叫含め最高。K.C『Earthbound』を超えてるか?

10.Meurglys III 『World Record(1976)』

ハミルのギターを堪能。Meurglys IIIが愛用ギターの名と知り笑った。

今でもトリオ編成で演ってます。ストーンズ並の持続力。
ハミルのソロも含め『World Record』までは軒並み名盤という凄さ。
いや、それ以降持ってないだけで、コイツらは名盤しか創らないのかもしれん。






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