Nicotto Town



料理勝負【3】今日の嫉妬は明日の恋。【終】

翌週、ミツコ先生の料理教室が終わった後。ショウアンはノエルに謝りに行ったが…。

「ノエル!すまなかった!先週は…」
「ショウアン!ちょうどよかった!今から夕食の買い物に付き合ってくれない?」
「ノエル!遠慮なくショウアンをこき使うヨロシ!」出しゃばるミカ・ヨンフー。
「ショウアン、今日の夕食当番のことは気にしないで!デート、楽しんできて!」と、メイリン・ヤムヤム。
「ショウアン、ちゃんとノエルさんをエスコートするんですよ~」ニッコリ微笑むコウラン・アンシー。
「おい、お前ら…俺はまだ買い物に付き合うとは一言も…」
『い~ってらっしゃ~い!グッドラック♡』ハモる中華三人娘。
「やかましい!…行くぞ、ノエル」ショウアンは市場とは逆方向に歩いてしまった。

「ノエル、随分買い込んだな。それに、この材料の組み合わせは…」ついさっき習った料理の材料である。
「この間、男が5人も増えて大所帯も大所帯よ!ツェペりんはともかく、アキヒロはよく食べるのよね~」

ノエルとショウアンは、メンドーサ隊事務所に着いた。
「たっだいま~!」「…お邪魔します」
ノエルの後ろでショウアンは大量の食材が詰まった紙袋を両腕に抱えている。
「おかえり~♡ノエルちゃん♡」「ちょっとちょっと~!その子、だ~れ?ノエルちゃんの彼氏?」
ノエルとショウアンを出迎えたのはアニスとタンゴ。
「違うわよ。彼氏じゃなくて助っ人」
「買い物の食材も運んだし、俺はこれで…」帰ろうとするショウアン。
「待ってよ、ショウアン!マリアにリベンジしなくていいの?」
「あの~…私、誰かに恨まれるようなこと、しましたかぁ?」
「マリア先生!?」「あ、あなたは…!」マリアは先週、チャーハンを食べ比べたことを思い出す。
「ノエルさんの彼氏ですかぁ?」
マリアはそう言いながらキョトンと首をかしげる。青ざめるショウアンの後頭部に三つほど汗タラリ。
「マリア、アンタまで…」「それは俺のセリフだ」

ノエルは、ミツコ先生の料理教室で習った料理をその日のうちにもう一度作っておさらいする。
したがって、料理教室があった日の夕食のメインはノエルが作ることになる。
今回はそれにショウアンを付き合わせる形になった。
今日、料理教室で習ったのは「麻婆豆腐」だ。
夕食の準備が整い、ショウアンを含む19人の前にメインの麻婆豆腐に合わせて中華料理がズラリと並ぶ。
マリアの前にはショウアンが作った「麻婆豆腐チャーハン」があった。
麻婆豆腐チャーハンを食べるマリアを固唾を飲んで見ているショウアン。
「美味しいですぅ~!麻婆豆腐に合わせてチャーハンの味付けが控えめになってるけど、
それがまた良いんですぅ~!食べやすいし、何より作った人の愛を感じますぅ~!」
ショウアンはマリアの感想を聞いてて少し気恥ずかしかったが、同時に嬉しくもあった。

ショウアンは先週、教員寮のミツコ先生の部屋に行ってチャーハンを作っていた時のことを思い出す…。
「ミツコ先生?」ショウアンがチャーハンを作っているすぐ横でミツコもチャーハンを作り始めた。
「ショウアン、おなかすいてない?あなたのことだから、負けたショックで何も食べてないんじゃない?」
「そ、そんなことは…!」否定しようとしたショウアンのお腹がグゥ~と鳴った。
「ほら、やっぱり…」ミツコはクスクス笑っている。バツが悪そうに赤面するショウアン。
程なくしてチャーハンが出来上がり、互いに作ったチャーハンを互いに食べる。
食卓を囲む二人の間に 言葉は いらなかった。

チャーハン対決の翌週、自身の料理教室で料理人クラスの生徒達が作った麻婆豆腐を試食していたミツコ。
最後はショウアンの作った麻婆豆腐だ。
これまでは何を作っても一口も食べてもらえなかったが、今は違う。
ミツコはショウアンが作った麻婆豆腐を食べている。しかも、笑顔で。
ショウアンはそれを見ていて何だか優しい気持ちになり、少し涙ぐんだ。

マリアが麻婆豆腐チャーハンを美味しそうに食べているのを見て、
ショウアンは麻婆豆腐を笑顔で食べているミツコを見て感じたのと同じ気持ちになっていた。
「ごちそうさまでしたぁ~!…何だか、ネムネムになってきましたぁ~」
マリアはお腹いっぱいになるとすぐ眠くなってしまうようだ。
「幸せそうな顔しちゃって…よっぽど、ショウアンの麻婆豆腐チャーハンが美味しかったみたいね…」
「…マリア先生の部屋はどこだ?」
ノエルとショウアンは、寝ているマリアを部屋に運んだのだった。

ーおわりー




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