Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


ヨーロッパの思い出 5


前回に引き続き、モロッコの続き。


タンジェのビーチの防波堤で子供たちと遊んで、それから、確か街中のレストランで夕食を食べたと思う。
そのとき、モロッコに来たら食べようと思っていた羊の脳みそを注文したのだけど、残念ながら、売り切れ。
仕方なく、クスクスとか他のものを食べたと思う。

夕方、ホテルへ戻り、部屋ではwifiが繋がらなくて、インターネットはロビーだけでしか使えないので、もうちょっとタンジェのことを調べたくて、1階のロビーのソファーでパソコンをする。
すると、向かいのソファーにモロッコ人のとても美人な女の子が二人座ってきた。
やはりアジア人が珍しいらしくおれのことを気にしてるので、二人に話しかける。
二人とも、Tシャツでギャルっぽい格好で、肌が結構露出していて20代前半くらい。
イスラム教って、そうゆう服装も大丈夫なの?
と聞くと、それは宗派や地方によって違って、彼女たちの住む町では戒律がゆるくて、どんな格好してても大丈夫だそうだ。
それから、しばらくおしゃべりをして、楽しい時間を過ごした。

このロビーではまた次の日に別の出会いがある。

次の日の朝、おれはタンジェの地元の市場へ行く。
この旅では、おれはよく地元の市場へ行くことが多かった。
そうすると、地元の食べ物や文化がダイレクトに感じられて面白いのだ。

市場には大きな魚売り場があって、あらゆる魚介類が売ってた。
カジキマグロの頭だけが角ついたまんま売ってて驚き。
それから、奥へ入っていくと、どんどん道が狭く迷路のようになっていく。
絨毯屋さんや、服屋さんなど、あらゆる店が立ち並び、人も多い。
しょっちゅう「ジャッキーチェン」だのと声をかけられて、何かを買わせようとしてくる。
道路は舗装されていない土がむき出しの道路になっていき、暑くて寝そべってる野良犬がその辺に転がってる。
さらに歩いていくと、金網の大きなケージがあって、その中には鶏がたくさんいて、騒がしい。
鶏を生きたまま売っているのだ。
そして、道端に、プラスチックの箱が置いてあり、中には羊の骸骨がゴロゴロ入っていたりする。
もちろん、羊は丸ごと、もしくは、頭だけなどで売られている。
そんなふうにたくさんのタンジェのカルチャーを原液でダイレクトに感じながら歩いていると、迷宮に迷い込んだような気持ちになっていく。

その日は巨大な市場を心ゆくまでゆっくり見て回って、夕食を食べてホテルへ帰った。

その日の夜、ホテルのロビーでパソコンをしていると、入り口の自動ドアが開いて、誰かが入ってきた。
背が低く、体がゴツい白人のおじさん(たぶん、50代後半くらい)が真ん中の先頭にいて、大柄でガタイの良いモロッコ人と思われる若者たちが7〜8人くらいおじさんの周りを取り囲んでついてきている。
見た瞬間、おれはカタギじゃない。と思った。
雰囲気が明らかに一般の人と違い、どこか異様なのだ。
マフィアか?

すると、その集団はチェックインを済ませると、おれが一人で座っているソファーへやってきた。

ヤバい。。絡まれるかも。。。

おれは立ち去ったほうが良いのか?と迷っていると、その集団のボスらしき背の低いがっちりしたおじさんがおれの正面のソファーに座り、取り巻きの若者たちも周りに座った。
急速におれの肩身が狭くなる。。

どうしよう。。

おじさんは座っておれを見るなり、「ジャパニーズですか?」と笑顔で聞いてきた。
モロッコに来て、おれが日本人だと言ったのはこのおじさんが初めてだった。
おれは、「はい、そうです。」と答えると、おじさんは嬉しそうに、「日本には私のヒーローがいます。」と話し始めた。
そのヒーローとは宮本武蔵らしい。

話を聞いていると、彼らはマフィアではなくて、空手道場の一門だった。
そのおじさんが師範で、周りの若者は彼のことを「センセイ」と呼んでいた。
おれも空手をやっていたことを伝えると、センセイは嬉しそうに空手のことを話し始める。
すると、周りの若者たちは口々に「センセイはすげえんだぜ。」と言うことを言ってくる。
体の大きな男たちが本当にセンセイを尊敬してる様子で嬉しそうに目をキラキラさせながらセンセイのことをおれに言ってくる様子は何だかちょっと可愛かった。

センセイはフランス人で、空手8段(8段は、ほとんど神の領域。。)、彼はフランスに道場を持っているが、モロッコやアメリカなど、世界中の道場に定期的に教えに行ってるらしい。
センセイは、強いと言うのはどうゆうことだと思う?とおれに聞いてきた。
おれはわからない。と素直に答えると、センセイは言った。

強いと言うのは優しいということだ。
誰かをやっつけるために空手をやっているんじゃない。
もし、君が誰かに絡まれたりしたら、一目散に逃げなさい。
戦わないことも強さだ。

というようなことを教えてくれた。

まさか、日本の空手の極意をモロッコのホテルのロビーで、フランス人のおじさんに教えてもらえるとは思ってもみなかった。。

センセイはとても優しい目をしていた。
そして、どことなく目の奥が鋭かった。

おれはセンセイに、そろそろ部屋へ戻るよ。と言うと、センセイは、握手を求めてきて、もしフランスへ来ることがあれば、私の家に来なさい。と言ってくれた。

なんだか大きくて、とてもカッコいい人だった。。

それから、おれは次の日に、カサブランカへ移動する。
カサブランカは、なんだか、「どわぁ〜〜〜〜!!!」って感じの大きな街で、圧倒された。
おれはホテルへチェックインすると、銀行へ行き、現金を下ろそうとした。
しかし、スペインのアルゲシラスで銀行へ行った時、ATMからカードが出てこなくなるというトラブルがあり、そのカードはもう壊れてしまっているようで、お金を下ろせない。
おれは、本当はその後サハラ砂漠のマラケシュまで行こうと思っていたのだが、急遽予定変更で慌ててすぐにスペインへ戻ることにする。
(その後のスペインでのお話は、ヨーロッパの思い出 1)

モロッコで足止めになるより、とりあえずスペインにいる方がまだ何とかなりそうだと思ったからだ。(たぶん、この時のおれの判断は正しかった。)
ホテルをキャンセルしてから、カサブランカ駅へタクシーで戻る。
タクシーの運転手に地図を見せてカサブランカ駅へ行くように伝える。
しかし、なぜかタクシーはわけのわからない工場のような場所へ着く。
タクシーの運ちゃんにここはどこか?聞くが、彼のよくわからない英語の返事が全然理解できず、おれはとにかくカサブランカ駅へ行きたいんだ。と伝えるが、全く要領を得ない。。

もう諦めて、おれは払いたくもない金を払ってそのタクシーを降りて、すぐに別のタクシーでカサブランカ駅へ戻った。
すぐにタンジェ行きの列車の切符を購入。
しかし、モロッコの鉄道がルーズなのが当たり前なのか、事故でもあったのか、よくわらないが、結局その後発車時刻よりも2時間くらい待って、ようやくタンジェ行きの列車に乗れた。
すぐにフェリーに乗ってスペインのアルゲシラス、そして、さらに電車でおれの銀行の支店があるマラガまで辿り着く。

おれはほうほうのていでカサブランカからマラガへようやく戻れたのだった。。。

その時の感想は、

あ〜、くたびれた。。。。

だから、マラガはおれにとってちょっと安心する特別な町なのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=a_QMLisjQsY

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2023/08/01 11:33
べるさん、

はい、ジャッキーチェンかブルースリーのようです(笑)

はい、貴重な経験でした。
空手道は精神こそが最も大事なところで、まさに道なのですが、海外でもそれを理解してマスターしている人たちがいるんですね。
すごいです。
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2023/08/01 11:18
アジア代表はジャッキー・チェンなんですね(笑)

海外でガタイのいい人に囲まれたらやっぱりマフィアかなと思いますよね・・・逆にすごい人で貴重な経験でしたね♪
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2023/08/01 08:15
せんちゃん、

はは!海外なら、それありそうです!!
な〜にも言ってくれませんよね?そうゆう時。
でも、地元の人たちにとっては当たり前なんでしょうね、きっと。

確かに。
ニューヨークも地下鉄は急に行き先が変わったりすることがあったり、急に真っ暗になって止まったりもあるので、来たばっかりの時は焦りました。。(笑)
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2023/08/01 06:28
旅先で、明らかに通常のコースでない山中にバスが向かって行って、運転手さんがバスを
降りてしまったことがあって(@_@;)。
他の乗客は慌てる感じでもなかったので、待ってると10分ほどで運転手さんは戻ってきました。トイレ休憩ならそう言ってよ~!と思いました(;^_^A

あと、地下鉄でいきなり停電で真っ暗とかもどきどきします。
交通機関が安全快適な日本以外はちょっとしたことでもびっくりしますよね。



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