Nicotto Town


せんちゃん


小説より波乱万丈


「ジョン万次郎の羅針盤」中濱武彦著


ジョン万次郎の人生は並の冒険小説など霞んでしまうほどの波乱万丈だと思う。

少年だった万次郎の初めての漁。そこでまさかの大嵐に遭い、孤島に漂着。乏しい水を仲間と分け合いながらのサバイバル。ギリギリの状態でアメリカの捕鯨船に救われる。ホイットフィールド船長との出会いは奇跡のような僥倖だろう。彼はそこで初めて地球儀を見たのだ。様々な肌の色の水夫が船長指揮の下一致団結して半年以上にわたり航海し鯨を追い、仕留める。少年だった万次郎はそこで自発的に甲板の掃除、見張りなどをしながら操船と捕鯨技術、英語を学ぶ。万次郎の利発さとまっすぐな気性から船長はアメリカに彼を伴い大学で学ばせることに。

学費を稼ぎ苦学しながら、マサチューセッツ工科大学の前身であるバートレット・アカデミーへ。首席で卒業。船長と同様に航海士としてアメリカで悠々と暮らすことも出来た。しかし、鎖国下の日本の評判は悪く座礁した船舶の乗組員も追い払う「野蛮人」との認識が世界各国に広まっており万次郎は悩んだ末、故国日本へ帰ることを志す。たとえ日本人であっても海外からやってきた者は打ち首だった時代。アメリカ船からは日本近海で降り、小さな舟を漕いでの琉球上陸。そこは尊王攘夷が荒れ狂う故国だ。

この本の半分以上は帰国した万次郎と幕末~明治維新の日本の激震についてである。刀を持つ攘夷論者に襲われそうになった経験も。しかし、万次郎が船長から教わった「平等」「民主主義」は一滴づつではあっても日本の若者の中に浸透していったのだ。黒船来航時の通訳になぜ万次郎がなれなかったのか、以前から疑問だったがスパイ容疑をかけられていたとは。検閲されることを見越して言葉を選んで送ったホイットフィールド船長への手紙とその返信に親子以上に強い絆を感じ胸が熱くなる。良書。

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2023/06/17 14:03
(ノД`)・゜・。それは泣ける・・・
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2023/06/17 06:39
船長さん、航海中に奥さん失くしたりしてるし万次郎とは
家族以上に家族だったのかなと感じたよ。
晩年のことを思うと、国籍関係なく皆で一つの船で力を出し合って
クジラ漁をしていた期間が一番幸せだったのかもとも思う。

アメリカで安定した生活を送れるのにそれを捨てて
故国に戻っても幸せとは程遠い感じだったし。
でも、自分の幸せより故国の未来を思う彼だから憧れるんだよね。
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2023/06/16 21:19
そうなんやー。お名前とアメリカに行って日本に帰国されたことしか知らんかったけど、素敵な絆が生まれたんやねぇ。素敵や・・



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