加園翔平と徳本彩香の共同作業
- カテゴリ:日記
- 2023/06/11 12:25:49
加園翔平と徳本彩香の共同作業
1
宿川花鈴はいつものようにカウンターで珈琲を入れる。
今日はお客さんが少ない。平日の時間帯だからだ。
何かの楽器を持つ若い女性と資料のようなものを書くサラリーマン。
外は雨のため出るに出れないのもあるのか時間つぶしもしているのだろう。
外にある庭には松の木が濡れて僅かな光の反射をみせる。
湿気が高いので天井から雨漏りの心配をしてしまう古民家。
お客さんにはこんな日くらい思う存分雨宿りしてもらおうと思う。
2
じゅー、ねぎと、みそとかいれてとろみ…こげちったお。
おさとーう。ひーとめてぇーまぜてぇ!
ピギャーっ、とろみ、まぜまぜ
ソースできたから火をつけたぉ
お豆腐いれたぉ、混ぜたらくずれたぉ
うぉおーーー!。
火を止めて混ぜたら麻婆豆腐もどきができたぉ
ひき肉入れ忘れたぉ
甘くておいしかったけど
お豆腐は絹より木綿だと思ったぉ
日記おしまいっ
おやすみねー
絶対音感ある友達ほしいです
なかなかいいところに着目点おいて書かれたのですね
この商品、早くあったらしってたら
あげたい人いたのにな…(過去形)
5
二人は製品名『ソーヌス』を作るため共同作業を始めた。
ソーヌスとはラテン語で音を意味する。
音の調整は徳本彩香がやって製品の製造は加園翔平が行う。
長い共同作業は二人の仲を取り持った。
お互いがお互いが居なければ成り立たない。それは恋を育んだ。
健康診断でソーヌスを使い音の耳力検査。視力検査のように音の聞き分けを細かく測定する。それは、音楽だけではなく外国語にも活躍することになる。
4
スーツの男は自己紹介した。
「僕は加園(かえん)翔平(しょうへい)。音の分別してちょうど目の視力検査のように音感を図る機械を作っているんだ。耳の検査が出来れば自分の問題自覚出来て後の対策ができると思う。
これは僕の夢だけど世界を変える発明と思うんだ。手伝って欲しい。」
若い女性は自己紹介した。
「徳本(のりもと)彩香(あやか)よ。私の絶対音感の使い道に困っていたの。役にたてるなら喜んで。」
5
3
若い女性はイヤホンで音楽を聴きながら何かをメモっている。
楽器を持つのだから音楽の活動でもしているのだろうか?
宿川花鈴は珈琲とチョコレートケーキを持ってくると、「何を書いているんですか?」と聞く。
若い女性は「・・・クラシック」と呟くように言う。
宿川花鈴「楽譜作ってるんですか?聞いて音符付けるという。」
若い女性「これしかできないから、私。」
宿川花鈴「音楽できるって立派な才能と思うわ。自信もっていいんじゃない?」
若い女性「・・・これしかできないの、・・・不器用なの私。音楽しかないのに不器用で新たな作曲もできない。他人の音楽を譜面に残すしかできないの。私は耳がいいだけ。
神様は何故私に耳の才能だけを与えたのかわからなくなる。」そう言って落ち込んでいた。
宿川花鈴「・・・お客様、ちょうど合わせたい人がすぐそこにいます。あなたの才能を役立てる人が。」
4
いつも来るそのお客さんはスーツ姿で設計図を書いている。
何かの研究だろうか?設計図や数式。
いつもの光景だが気になるので聞いてみた。
宿川花鈴「それ何を書いているんですか?・・・難しそうですね。」
男「・・・ん?注文は合っているぞ。クロワッサンのサンドイッチと具材入りのトマトスープ。」
宿川花鈴「いえ、・・・何の研究ですか?と言ったのですが。」
男「・・・ああ、僕は耳が悪いからな。音を聞き分ける機械を作りたいんだ。
僕と同じ耳が悪い人々に現状対策の手助けになればと思って。」
宿川花鈴「何か課題でもあるんですか?」
男「それが大ありだよ。機械はどうにでも作れるけど音の認識が難しい。だいたい僕は耳が悪いというからなおさらだ。」
宿川花鈴「通常通り会話できているではないですか?どこが問題なんですか?」
男「日常生活ではわからないよね。音そのものは確かに聞こえるから。
例えば畝といった人の言葉が梅と聞き間違いしたりするんだ。音の判別能力なのかな?それが僕には難しいんだ。」
宿川花鈴「いろいろ大変なんですね。」
3