Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


山育ち




炭鉱の町の中央を流れる川の色は真っ黒だった
通称”炭塵川”と呼ばれる


とはいえ 本流に入る前の 山際のあちこちの沢から奔出した
地上に生まれたばかりの沢水は清澄で まさに”北海道水”のピュアさを誇っていた



あ 思い出した 底なし沼のお話しでしたねw

前回に書いた通り周りはみんな山
雪解け水は晩冬から初夏に向けて高きから低きへと流れる
水の通路さえあればよくて 一度は町中で黒く汚れるが
やがて空知川 そして石狩川へと合流し 結果的には石狩湾へと注ぎ
日本海へと繋がっている



さてさて山ばかりの土地である
場合によっては水路が存在しないことも往々にしてありえる
大抵の場合は そんなとき地中に再び吸収される
再び地中の土砂を漉し砂にしてどこかの低地の地表で逢いまみえることができる


ある程度の引き出しの水量が釣り合っていれば そこは”池”と呼ばれていたはずだ
場合によっては”湖”になった可能性さえある
10万年 いや100万年くらい前の話しだろうか


ところがギッチョンw 地元の遊びガキはなんでも見つけ出すw

学校が終わり数人で遊びだす 「よし! 今日は山に行こう!」
ガキである 体力は無尽蔵である
装備なんて頭の片端にもなかった 日没まで3時間以上はある
笹薮や岩地や森の中をひたすら登りながら進む
当然近くにはヒグマのホームもあっただろう
しかしこちらは血気盛んな怖いもの知らずぬのバカモノ3人組
今日学校であった可笑しいことや 商店のオバちゃんの悪口を声高に
(無意識に)まきちらす
ヒグマさんとてこんなのとは関わり合いたくはなかったろう


着いた

底なし沼だ
前に来た時と変わっていない

流れがあれば砂利も溜まるだろうに
ここには何千年間もの木の葉が沈みっぱなしで 底がどうなっているのか
震えるくらいミステリアスだった

ふと空を見上げた ヤバイ 暗くなりかけている
辺りを見渡す 方向が分んなくなっていた
かろうじてえらい遠くに公民館の小さな屋根がなんとか見えた
あっちから登ってきたんだ



底なし沼自体の探検はきりあげた
てか 今まで一度もやっていない

『ヤベエヤベエ』と思いながら山道を下った
何が”ヤベエ”と思ったか その理由は二つ

①陽の残っているうちに帰りつけるか
②夕飯に間に合うか



前の時に書いた
歌志内 三笠(3地点)夕張
遊びまくった私が断言できる
それらのすべての地域にそれぞれの”底なし沼”は存在した
現在のグーグルマップでもよくわかんない



ヒグマさんたち お騒がせしました メンゴ
今の若い方にはくれぐれも真似をしないように





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