Nicotto Town



冒険者とピクニック【3】木枯らしまりあちゃん

「ひゅ~るる~」三度笠に縞合羽の渡世人娘『木枯らしまりあ』は、今日も行くあてのない旅を続けていた…。

「賭博場や酒場へ行ったら「ここは子供の来る所じゃない」って、門前払いされてしまいましたぁ~。
私、これでもお酒飲めるし賭け事だってできるのに~。失礼極まりないですぅ~」
木枯らしまりあは、ほっぺを膨らませた。
「そんなムリして背伸びすることもあるめぇよ、まりあ」
「なないろ組のとりおん兄貴!」
「お前のことだ。「路銀(今で言う「旅費」のこと)が足りなくて、今日もまた野宿ですぅ~」って所だろ?」
とりおんは、まりあのモノマネをしてみせた。
「なないろ組で草鞋(わらじ)を脱げ。女だてらに渡世人なんて今時流行らんぞ?」
「いつもいつも、とりおんさんのお世話になるわけには…」
どこからか、笛の音が聞こえる。海魔女の笛吹き童子「ぶらん」が現れた!
「出たな、牛若丸もどきめ!」実際、ぶらんは牛若丸のような格好をしていた。
「ぶらんさん!その横笛で「円月殺法」とかしないんですかぁ?」
「そんな、眠狂四郎じゃあるまいし…」ぶらんの後頭部に一筋の汗。

「まりあ、僕と一緒に「しーながるど」まで空の散歩をしないか?」背中の翼を広げてまりあを誘うぶらん。
「まりあ、なないろ組へ来い。女の一人旅や一人野宿は危ないぞ」
とりおんとぶらんは、このやり取りを皮切りに火花を散らす。いつもの如く、まりあを巡って口論になった。
「あっしには関わりのねぇこって、ですぅ~」当の本人は、二人を置いて先に行っていた。

マリアは目を覚まし、あたりを見渡す。ここは、メンドーサ隊事務所の自分の部屋だった。

ーつづくー




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