Nicotto Town



冒険者とピクニック【2】5重の弁当

ここは、ウェルカム平原。空はピーカンに晴れ渡り、絶好のピクニック日和である。

「…で、何でトリオン先生とブラン先生までついてきてんだよ?」
コグレ・アカギリは、ちょっと不機嫌そうにマリアに尋ねた。
「トリオン先生とブラン先生とは、一緒にメンドーサ隊事務所に住んでますし、一緒に通学してるんですぅ~。
お昼のお弁当は当番制で3人分用意するんですよぉ~。
今日は私がお弁当を作ったんですけど、いっぱい作りすぎちゃって3人分以上出来ちゃって…」
マリアは、そう言いつつ、5段に積まれている大きなお重をひとつずつ並べていく。
「おにぎりに唐揚げに赤ウィンナーに…って、ビリオンの好物ばかりじゃないか!」と、トリオン。
「気がついたら、用意してあったんですぅ~」不思議そうに首をかしげるマリア。
「三色そぼろご飯、オープンサンドイッチ、ハートにあしらったハムサンド…これはシャイナだな」と、ブラン。
「気がついたら、用意してあったんですぅ~」
「肉詰めゴールドピーマン、ジャガーポテトサラダ、シルバーシシトウのグリル、
リモーネアマナツの皮の砂糖漬け、火吹きリンゴのアップルパイ…これはチュニスだろ?」
解説するトリオンの顔色が若干悪い。
「気がついたら、用意してあったんですぅ~」
「焦げてるのに生焼けな卵焼き、明らかに芯が残ってるパエリア、しあわせ満開プリンセスパフェもどき…。
これ、明らかにノエル姉さんだ…。ご丁寧に「ブランへ♡残さず食べてね♡」ってカードまで付いてるし…」
ブランは天に召されそうになっている。
「気がついたら、用意してあったんですぅ~。で、これが私が作ったお弁当ですぅ~」と言ってお重を見せる。
「俵型おにぎり、ヒレカツ、コロッケ、エビフライ、ポテトサラダ、くし切りのオレンジ…。
って、メッチャフツーに行楽弁当じゃん。でも、美味しそう~!」
ウメ・アオアメは、すでに俵型おにぎりに手を伸ばしていた。
「ウメ、行儀悪い…」「レキだって、エビフライの衣がほっぺについてるじゃん!」
ウメに言われてバツが悪そうにそしてちょっと照れくさそうにするレキ・レキシントン。
マリアが用意した5重弁当のおかげでみんな打ち解けるキッカケをもらった。

お昼を食べ終わった後、コグレ・アカギリはマリア先生に話しかけようとしたが、
マリア先生は、お昼寝している最中だった。
「ムニャムニャ…もう食べられないですぅ~」と、お約束の寝言を言いながら…。

ーつづくー




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