Nicotto Town



月桜亭に付き合うて【3】トルテの依頼【終】

あの後、ブランは寝ているマリアをおぶってメンドーサ隊事務所に帰り、彼女を自室のベッドに運んだ。
だが、間の悪いことに、寝ているマリアをベッドへ運んだ直後に、
トリオン隊長が帰ってきてしまい、抜け駆けデートがバレて大目玉を食らっていた。
「俺の留守中にマリアと月桜亭でデートしてただと!?ブラン!貴様ァッ!よくもぬけぬけと…!」
「シーッ。大きな声出すなよ。マリアが起きちゃうだろ?」
「…それで、何でマリアは寝てるんだ?」状況がよく飲み込めていないトリオン。
「何でも好きな物を頼んでいいって言ったら、マリアが「しあわせ満開プリンセスパフェ」を頼んじゃって…」
ブランは月桜亭でのことをトリオンに説明している。

「ブランさん…?い、痛いですぅ~」マリアは口のまわりをブランに拭いてもらっていた。
「ほら、ここにもクリームがついてる…」ブランはマリアの顎をくいっと指で持ち上げる。
「え?どこに…?」「ここ…」マリアの口元についてるクリームをキスして取ろうとするブラン。
「ブ、ブランさん!?ダ、ダメですぅ~!!」マリアはキスされる寸前に目を覚ました。
「マリア!?どうした!?」ドア越しにマリアの声が聞こえたのでトリオンがマリアの部屋に入ってきた!
「あれ?トリオンさん?…おかえりなさいですぅ~。何だ、夢だったのか…」
「どんな夢見てたんだよ?」

「いっぱい寝たので元気フル充電ですぅ~。それで、話というのは何だったんですかぁ?ブランさん」
「それは…」
「メンドーサ隊のみなさん、全員揃っているようですね。ちょうどよかった」
ブランが話をする前にお客が来ていた。トルテ学院長だ。

メンドーサ隊事務所の食堂のテーブルに13人と2匹、そして、トルテ学院長が集まった。
「まさか、また異世界クラスの連中が何かよからぬことを企んでいるとか言わんだろうな?」
トリオン隊長がトルテ学院長を訝しげに見る。
「いいえ、違います。今回は冒険者クラスの件ならびに我が学院の教員不足についてです。
ナローケイ現象の影響で異世界クラス以外にも新設クラスが多く立ち上がり、教師に兼任させてるのが現状です。
そこで、メンドーサ隊の何人かを教師として雇い入れたいと考えています」
「マリアには冒険者クラスのことで相談に乗ってもらおうと思ってたんだ」
「月桜亭でブランさんが話したかったのは、そのことだったんですねぇ~」
「やっぱり、抜け駆けじゃねーかよ」ボソッとつぶやくトリオン。
「後日、フツツカ魔法学院に来て下さい。詳しいことは学院で話します。
ブラン、人選は任せましたよ」トルテは学院に帰って行った。

「俺も行くぞ、ブラン!貴様とマリアを二人きりになんかさせん!」トリオンは啖呵を切った。
「トリオンさんも行くんですねぇ~。他に誰か学院に行く人はいませんかぁ?」
誰も手を挙げない。ていうか、その方が面白いからとあえて手を挙げないでいるのだ。
ブラン、マリア、トリオンの3人でフツツカ魔法学院に行くことになった。
はてさて、どうなることやら…

ー月桜亭(つきおうてい)に付き合うて おあとがよろしいようでー




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