Nicotto Town



目の上の異世界【3】異世界大転送作戦!!【終】

「こ、これは…一体、どういうことだ!?」シンカミーは、ただただ驚愕していた。

「ブラン様~♡」異世界女子4名は、もれなく笛の音の魔力でブランにメロメロなっていた。
「いい子だね。キミたち、大人しくしててね」
「は~い♡」
「武具たちよ!私のもとに戻ってらっしゃい!」と、言いながらハンマーを地面に打ち付けるトルテ学院長。
異世界15人衆からあっという間に武具を取り上げた。
「ノエル様~♡」シンカミー以外の異世界男子たちは、すっかりノエルの虜になっていた。
「海魔女ノ愛ノ詩(セイレーン・ラブソング)、もっと聴きたい?」

「みんな、所定の位置についたわね。始めるわよ!」トルテの一声で大掛かりな魔法陣が展開された。
「何を始める気だ!?」と、言いつつも、頭の中をフル回転させて策を練っているシンカミー。
「知れたことを!あなたたちがこの世界「ダレトクワルド」で悪さをする前に、
あなたたちを元の世界に送り返します!」
トルテ学院長は、娘のティルトに合図の目線を送り、転送魔法の詠唱を始めさせる。
「おい、ティルト・ウェイト!お前には、その転送魔法は荷が重すぎるんじゃあないのか?
知っているぞ!?お前、トルテ学院長の娘だって周りから期待されていたのになぁ~。
契約する魔法を間違えて試験に不合格。杖がないと魔法がうまく使えない。
あんちょこ(暗記メモ)がないと魔法の詠唱もまともにできないほど物覚えが悪い。
数々の落ちこぼれ劣等生伝説を築いてきた「ぼんくらティルト」だったってなぁ~!」
シンカミーは、皆の前でティルトを貶めるようなことを並べ立てた!
「っ!?」ティルトは大きく集中を乱した。
「確かに、ティルト!あなたは一年留年しました!
だけど、もう一年頑張ると言って学院に留まってからのあなたは、以前の「ぼんくらティルト」ではなかった!
それは、母親の私が一番よく知っているわ!」
トルテは、力強くティルトを励ました。
「お母さん…」ティルトは、相槌を打つ。転送魔法を何とか立て直した。
が、その時!「ティルトの杖」が大掛かりな転送魔法の負荷に耐えきれず、破損し始めた!
「あと少し…あと少し、頑張って!ティルトの杖ーーッ!!!」
ティルトの叫びに応えるかのように、ティルトの杖が眩く光り、その形状を大きく変えた!
「これは…大魔導士級錫杖「天衣無縫の杖」!?」
トルテは驚いた!土壇場でティルトの杖が『天衣無縫の杖』に進化したのだ!
「元の世界に帰りなさい!どんなに嫌でも、どんなにクソでも!」と、トルテ。
「少なくともこの世界「ダレトクワルド」では無双はさせない!夢は見させない!」
ティルトは、転送魔法を発動させた!
シンカミーたち「異世界15人衆」を一度にまとめて元の世界に送り返した!

「で、できた…」ティルトは天衣無縫の杖を持ったまま、その場にへたりこむ。
「よくやったわ!ティルト!あなたは私の自慢の娘よ!!」トルテはティルトを思いきり抱きしめた。
生まれて初めて自分が母親に認めてもらえたのが嬉しくて、ティルトは声を上げて泣いた…!

ー目の上の異世界は消えた。ティルトの過去編へ続く…ー




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