Nicotto Town



シッソナデビュー【3】お披露目と即興セッション

ここは、フツツカ魔法学院・吟遊詩人クラスの教室。

「やぁ、みんな。課題のデビュー曲はできたかな?」と、ブラン・ヨーク先生。
「はーい!」
「じゃあ、順番に発表していってくれる?」

ギターを弾きながら漫才する者、アカペラで変な歌を歌う者、戦隊ヒーロー物の真似事をする者…。
「何これ…学芸会レベルの茶番劇?」辛辣なシッソナ姫。
「4番!チーム「ディ・モールト見目麗しゅう」!シッソナソング、歌いまーす!」
リーダーのディモルトを筆頭にミーメ、ウル、ワシュウが混声合唱しながら歌い上げる。
歌唱パートがない時は、手持ちの楽器で伴奏をつけた。
「いい曲だけど、歌詞がイマイチね…」
シッソナ姫のお眼鏡にはかなわなかったが、彼らの歌が一番まともだった。

「キミたち!シッソナ姫のデビュー曲だって言ったでしょ?」げんなりするブラン。
「新入生の課題にしちゃ難しすぎるんじゃないの?ブラン・ヨーク先生♪」
「マリン・アンドリュース!」
「ブ、ブランくん!久しぶりだね。本当に先生になったんだ…す、すごいなぁ…」
「シャイナ・パッション!」
「あなたがかの有名なブラン・ヨーク先輩なんですか?」
「…キミ、誰?」
「彼女はアンタが退学した後に入ってきた「ルルカ・サファイア」よ」
一番最後に教室に入ってきたライム・バルナックが簡潔に説明した。
「てことで「ムジークカルテット」揃い踏みね」ライムはウィンクしてみせた。
「僕も「ムジークカルテット」だったんだけど?」と、ブラン。
「ねぇねぇ、久しぶりにみんなでセッションしてみない?」マリンが誘う。
「そうだね!デビュー曲のお披露目を聴いてたら何かウズウズしてきた!」ライムはノリノリだ。
「私は自己紹介を兼ねてのセッションになりますね」リコーダーを構えるルルカ。
「う、うまく合わせられるかなぁ?」竪琴を取り出すシャイなシャイナ。

「チーム「ムジークカルテット」改め『ムジーククインテット』!即興でデビュー曲を演奏しまーす!」
ライムが音頭を取る。
ブランとライムのフルート二重奏、シャイナの竪琴、マリンのアコースティックギター、ルルカのリコーダー。
即興とは思えぬほどクオリティの高い演奏。マリンがこれも即興で歌詞をつけて歌う。
その歌詞は、シッソナ姫に寄り添うステキな歌詞で楽曲ともピッタリ合っていた。
演奏が終わると、シッソナ姫や生徒たちから惜しみない拍手が巻き起こった。
「私、この歌を歌ってみたい!この歌でアイドルデビューしたい!」
シッソナ姫は『ムジーククインテット』が即興で作った歌を痛く気に入った。
自分が抱えている決定的な何かを忘れてしまうほどに…。

ーつづくー




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