Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


私のLGBTQ ①



episode 1


大学1年の頃かな?
2階の廊下の家族共用箪笥で見つけてしまった

ホワイトレースのカーディガン
綺麗だった
3人の姉のうち 誰の物だったんだろう 共用なのかもしれない

試しに普段の装いの上にそれを羽織ってみた 気に入った
真っ白で綺麗だったし それなりの防寒効果は感じられた
髪を後ろで縛ってから外に出た


休講の日だったので バスから地下鉄に乗り換え街に出た
世界が何故か優しく見えた
着ているもので世界は変わるよね
大通り公園の花園でかがみこみ 花弁や葯の美しさに目を奪われた
いつものようにテレビ塔そばの紀伊国屋書店で その日は画集を買った
(ダリだったかエルンストだったか)


帰宅後 若干の非難の声とともに家人から脱がされた
半日だけのホワイトレースの魔法は解かれた




episode 2

さっきの数年前
弘前大学人文学部を受験しに 青森まで出かけた
そこから両側に林檎の裸木が林立している(私鉄?)線路に乗って
弘前へ南下した

旅館では津軽弁のキツイお姉さんが案内してくれた
互いに誰も知らない4人の受験生が同室になった
この4人は私の発案によって深夜までトランプに興じた
後日 全員不合格を確認したと思う

そんななかのあるエピソード
私は赤いセーターを着ていた
当然髪は後ろをゴムで縛っていた
体形は比較的華奢 薄い胸 細い腰
声変わりは済んでたが 荒々しさは備わっていない

旅館のもっともキツイ津軽弁お母様が私を大浴場へ案内してくれた
女湯だった


私の祖父母は山形、秋田出身だったので ある程度意味は理解できた
「いや 違います 私は男です」
お母様は驚いていた

不思議な感情だが 心の中で 『ヤッター!』と思ったのは何なのだろう



そろって不合格だった4人の中に 大阪から来ていた受験生がいた
「あれ 何喋ってんの? まるでわからね」
私は通訳役に徹した
細かいところは分からないけど 大意や趣旨は充分に伝えられる

ゴメンね 悪い癖で受験前日にトランプに誘って


誘うなよ





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