忘備録:日韓の戦後補償問題についての私見
- カテゴリ:ニュース
- 2023/01/14 16:18:16
- 2018/12/30
- 2018/12/30
2018/12/30に書いた「日韓の戦後補償問題についての私見」より
件名: 日韓の戦後補償問題についての私見
〇結論
1、憲法で裁判を受ける権利は保証されてる。よって個人が国内の裁判所に訴えを起こす権利は
有るが、日韓請求権並びに経済協力協定の清算条項により救済されない。
2、日韓両国の法律に損害賠償(慰謝料を含む)請求の権利が消滅する除斥期間がある。
よって不法行為(日韓併合終了)から10年経過(韓国法)で請求する権利は消滅する。
3、現在の法律を日韓併合時代に遡って適用するのは、法の不遡及の原則に反する。
〇詳細
「個人の請求権がある」という事と、「法的に救済される」事は別次元の問題の筈ですが、
意図的なのかは解りませんが、韓国や日本の一部の主張は同義として捉えてるのか混同して
いるように思えます。
日本政府はこれまでも1965年の日韓請求権並びに経済協力協定で、日韓両国間及びそれ
ぞれの国民(法人を含む)の請求権を含めて解決したいう立場をとっています。
一方で、個人の財産・請求権そのものを国内法的に消滅させたものではなく、個人の請求権と
は日本の裁判所に提訴する事であると説明をしています。
日韓両国およびその国民は、外交的に相手国とその国民(法人を含む)に対する請求権を行使
出来ないが、個人が日本国内で裁判を起こす権利はあるという事ですね。
日本の法律の位置づけは憲法>国際法・条約>国内法 です。
最高法規の憲法で国民(外国人を含む)の裁判を受ける権利が保障されている為、憲法より
下位の国内法で個人の請求権は消滅しないと理解しています。
憲法
第三章 国民の権利及び義務
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
日本の憲法には国民(外国人を含む)に等しく裁判を受ける権利がある事が明記されています。
請願権、裁判を受ける権利、国家賠償請求権、刑事補償請求権を国務請求権と言います。
憲法98条1項では「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、
詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と明記されて
いる為、国内法等で裁判を受ける権利を消滅させることは出来ないでしょう。
ちなみに、韓国でも憲法 第27条で国民の裁判を受ける権利が保障されています。
しかし、日韓請求権並びに経済協力協定 第二条 3項には「一方の締約国及びその国民の他方
の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくもの
に関しては、いかなる主張もすることができないものとする。 」という一文があります。
これは双方の権利や義務を法的に確定する為の「清算条項」と言います。
例えば離婚や交通事故で示談(和解)した後に相手から訴えられると困りますよね。
個人間の示談書でも、後々問題が起きない様に「本件に関して今後一切異議申立て、請求
しない事を誓約します」などの一文が示談書の最後に書かれていると思います。
憲法98条2項で「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する
ことを必要とする。」と明記されていることから、日韓とその国民(法人を含む)の財産・権利
・利益・請求権問題は、個人が日本国内の裁判所に訴えを起こす権利は有っても、日韓請求権並
びに経済協力協定に従い救済されないと理解しています。
日韓請求権並びに経済協力協定 の清算条項に触れず、個人請求権があるから救済されるべき
と言う主張、企業は任意に救済すべきと言う主張は支持できません。
また、日韓の歴史問題では日韓請求権並びに経済協力協定だけでなく、損害賠償請求の権利が
消滅する除斥期間も重要だと思います。
不法行為にもとづく損害賠償請求には、不法行為の時から一定期間が経過すると請求する権利
が消滅する除斥期間があります。
被害者が不法行為だと認識せず、請求権を行使しなくても、不法行為の時から20年が経過する
と請求する権利が消滅します。除斥期間には期間の中断や停止はありません。
韓国の民法(第766条)でも不法行為の日から10年経過すると、損害賠償の請求権が消滅
すると定められています。
今回の元徴用工裁判で原告が求めた慰謝料も法的には損害賠償の一部の為、日韓請求権並びに
経済協力協定と関係なく、日韓併合時に不法行為があったとしても、韓国の法律では1945年
の終戦から10年経過で、韓国人の損害賠償請求する権利は消滅している事になると考えます。
あと根本的な事ですが、韓国は所謂”元慰安婦”や”元徴用工”問題は日韓請求権並びに経済協力協定
に含まれないと主張してますが、これらの行為は日韓併合時代に発生した問題です。
ですから、日韓請求権並びに経済協力協定とこの協定を基に整備した国内法以外の現在の法律を
日韓併合時代に遡って適用するのは、事後法による遡及(そきゅう)処罰にあたり、法の不遡及
の原則に反すると考えます。
日本では 憲法第39条で「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為に
ついては、刑事上の責任を問はれない」と遡及処罰の禁止が明記されています。
韓国でも憲法第13条で日本同様に遡及処罰の禁止が明記されています。
ですから、所謂”元慰安婦”や”元徴用工”問題などが日韓請求権並びに経済協力協定に含まれない
とするなら、それら行為の違法性はその行為があった時点の法律で判断するのが妥当と考えます。
また、韓国の最高裁判所は日韓併合を違法と判断していますが、これも、日韓併合条約締結当時
(1910年)の法律に照らし合わせて判断するべきだと考えます。
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日韓請求権・経済協力協定 (BLOGOS)※2023年1月現在リンク切れ
https://blogos.com/article/340233/
【徴用工判決】竹田恒泰氏「除斥期間について触れてない。昭和30年に除斥期間は終了してるので請求権は消滅してる。こういう都合が悪い事は言わない」 (snjpn.net)※2023年1月現在リンク切れ
https://snjpn.net/archives/84133
追記(2023年1月)
徴用工問題「支払いは韓国政府」で合意 外務省、日韓協定交渉の資料公表 (産経ニュース)
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