町の中華屋 大正亭 ①
- カテゴリ:日記
- 2022/09/11 23:26:15
父親は別に店を継いでくれとは云わなかった
時折り交わす会話の中、自分の代で終えるつもりだという覚悟も聞いた
長男は青年時代、それにとりあわなかった
昔はそんなことはずっと先の事だと思っていた
父は母とともに二人きりで
彼自身の父から継いだこんな小さな中華屋を長年続けてきた
ずっと先の事だと思っていたときから数十年経ったある日
父親が倒れた
長男は東京での仕事を一時的に保留、処理し帰郷した
実家には大阪から次男とその妻も駆けつけていた
母親は病院に付きっきりだった
兄弟二人で営業灯の消えている父母の店に入った
数日前まで火照っていた数台のガスコンロや寸胴鍋は冷えていた
倒れたのは営業後だったので店内は整然としていた
(父親は帰宅後倒れた)
「無理か?」 長男は弟に問うた
「作れんの?」 次男は兄に問うた
「作れん」 長男は弟に答えた
「俺も」 次男は兄を見据えた
そこに病院から母親が戻ってきた
「父ちゃん、目が覚めたよ、すぐ行こ」
こうして、【大正亭】の暖簾が引き継がれる令和のイベントは
次回に続くことになる
ちょっと、その前にエピソードをひとつ
病院では次男の妻が彼らの父親を見守っていた
夫とその兄が病室に駆けつけるなり彼女は言った
「軽かったって、本当に良かった」
次男は妻をねぎらった
長男は半分覚悟を決めていた
①としてるがたぶん続かないだろう
興に乗って
書くかもしれません
(要するに上機嫌故のアッパッパーでございます)
あそまつ様でした