Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


ルージュの怨恨  (季節外れの納涼記事)




グロ注意) グロ抵抗の無い方にはどうか御離脱をお薦めします
       御免なさい あけすけな表現が好きなだけなんです




あのひとの ママに会うために
今ひとり 列車に乗ったの
たそがれせまる 街並や車の流れ
横目で追い越して

あのひとは もう気づくころよ
バスルームに ルージュの怨恨
浮気な恋を はやくあきらめないかぎり
家には帰らない

        (翻案、荒井由実)





あああ、怖い
怖すぐる
一体何がバスルームにあるんだろう
そうして
はたして仏様(死体)がいらっしゃったのか

怨恨ってどんな形だったんだろう
怨恨ってどんな色をしていたんだろう
怨恨ってどんな匂いを放っていたんだろう
怨恨ってどんな目をして私達を見つめていたんだろう

だから浴槽内に、、、、、
いやいや、そんな事書いたら駄目でしょ
そんなの昨日の新聞記事みたいな感じでしょ
売れれば(PV稼ぎで)いいんでしょう

でもしょうがない、続けます






体液はとうに乾燥していた
臭気はかろうじて換気扇の稼働で我慢できた


今年、当局に配属された一年目の煎兵衛は
自らの職業選択の過ちを瞬時に知った
耐えきれなく
煎兵衛は「御免なさい」と宣言した

指導役の眉の角度が急スピードでせりあがった
「そうか、まあとにかく、自分で見てみろ」


死後一週間は経っているだろう、ホトケサンの唇に
若干の色素が残っていることに煎兵衛は気付いた

「?」
「見えたか?」
「はい、これは、おそらくルージュです!」


指導役である先輩は眉の角度を急速に下げ
「すまん、お前は出ていけ。ここにはいらん」
予想できていたクビ宣言
先輩の目は、それでも優しかった
「本当はやりたいことがあるんだろう、そっちに行け」
「え?」
「これ以上言わせるな、こっちも忙しいんだ」


そーして煎兵衛は公安から下界に降りた:(注)フィクションである


翌年、先輩は二人の幼子を抱え、奥様と共に訪ねてくれた
私と言えば、やりたいことが見つかりきらず
平穏な田園での生活をなんとなく過ごしていた


先輩は疲れているように見えた
でも、そんなことは辞職した身では言えない
そういうことは先輩はすべてわかっていた、それでも
「戻って来てくれるか?」と云った
意外だった
「俺は、間もなくあいつらに捕まっちまうからな」
え?
「俺の期限も過ぎそうだ」
え?
「お前が配属されたときは心底嬉しかった」


次の瞬間、先輩の肉体は早めに処理されたようだ
肉片、血球、感覚球の欠片、脳髄の紐
全てが一瞬にして空中に飛散し、放出されて
煎兵衛の顔面に臭い、くさーい血糊を残した



犯人(というか、お仕事)はとうにわかってる

女神
ノーチャンスの女神




煎兵衛は自宅に戻って風呂に入り我が身を清めた
湯気に自身を晒しながら、困難さを嚙みしめていた
奥様と二人のお子様には最大級の保安と弔意を示し
またいつかの再会をお願いした



許すまじ
どこまで私の大事な人をあなたは消滅させるのか
そろそろ、レベルの低い私でもカンニンブクロノヲガキレマスヨ


1年振りに煎兵衛は復職した
ルージュの意味を探るために





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