Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


旬別の章




お茶の水、古本街にて





私は休日の時は何時ものように
御茶ノ水駅から坂を降りながら主に左側の楽器店をひやかしながら
神田の古本街へと歩を進めていた


まず最初はチャールズ・イー・タトルの店舗に向かっていた
そこで彼女に出逢ったんだ
ベレー帽、?度深い眼鏡?、ロングスカ-ト?
だいたい渉猟したい分野は店内で一カ所に置かれているので
求めるジャンルが一緒ならば当然、接近してしまうことになる
『邪魔くさい』そんな私の思考をまさか感知したのか、彼女は突然
「アーカム系ですか?ファンタジー系ですか?」と、目を合わせてきた


私の脳裏にはまだ楽器街の余韻が残っていた
甘かった。ひるんだ。

彼女は更に続けた「これからが大事な時です。日本文学の
いや、日本語翻訳の分かれ目なんです」

その後、彼女は数冊の外国本を買い、その場を離れた
私は情けないことにその後ろ姿を追うだけだった



身長は高くない、全て黒系統だった。脚は見せてくれない
肩幅は狭かったけど、いつかまたどっかの辻道でお逢いしたい
眼差しは矢のようだった
彼女は誰だったのだろう




十数年後、弥勒が現れるかも知れない





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