Nicotto Town



ぐだぐだ劇場R【9】おかえりなさい

ここは、フツツカ魔法学院内・トルテ学院長の武器工房。ティルトの杖の武器進化の儀式をしている。
トルテ学院長が厳かに呪文を詠唱している。すると、魔法陣が光り出した!
魔法陣の中心にいるティルトが光に包まれると同時に、ティルトが持っている「学院長の杖」が光り輝いた!
学院長の杖に入ったひび割れが修復された瞬間、杖が眩い光を放って宙に浮き、その形状を変え始めた!
光がやむと、杖はティルトの目の前に浮かんでいた。呆然とするティルト。
「受け取りなさい、ティルト。その杖はあなたの杖『ティルトの杖』なのです!」
おめでとう!学院長の杖はティルトの杖に進化した!
手に取った新しい杖を嬉しそうにしげしげと眺めるティルト。
「ええなぁ~、ティルトの杖!うちのステッキもあないにカッコよくして欲しいわ~」
セリカがぼやく。
「さぁ、ティルト。その杖で転送魔法を使ってごらんなさい。
話はメンドーサ隊の水牛ちゃんたちから聞いているわ」
「えっ!?スイちゃんとギューちゃん、学院に来てるの!?」
ティルトはビックリした。
「ええ、今はチュニスと一緒に中庭でひなたぼっこしてるわね」

今度は魔法陣の中にセルフィとボウ・ヨミーが入っている。
「やっと元の世界に帰れるんだね!マリアさんとトリオン隊長によろしくね!」
「それじゃあ、始めるよ!」
ティルトは杖を構え、呪文を詠唱し、転送魔法を発動した!
魔法陣が光を放ち、セルフィとボウ・ヨミーの姿が一瞬にして消えた!
「転送完了。無事、元の世界に送ったよ!」

「ここは…私の家だ。帰ってきたんだ!元の世界に帰ってきたんだ!」
「あら?セルフィちゃん!おかえり!『くまくまベーグル&ドーナツ』?」
セルフィの母は、セルフィが持っている紙袋をまじまじと見つめた。
「う、うん。新しく出来たドーナツ屋さんなんだ…」
(異世界のお店で3匹のクマさんが店員なんだけどね…)
セルフィは心の中で呟いた。
「ちょうどお茶も淹れたことだし、ドーナツ食べましょうか!ボウ・ヨミーくんも食べてく?」
「ええ、喜んで」
「!?」
セルフィはボウ・ヨミーが隣にいたことをすっかり忘れていた!
「ボウ・ヨミーくんも『くまくまベーグル&ドーナツ』買ったの?」
「ええ、ここのドーナツ、美味しいですよ」
事務所を出る時にマリアが二人に持たせてくれていたのだ。
あのドーナツこそ異世界に行ったことが夢ではないという何よりの証拠。
「セルフィちゃん?何ぼーっとしてるの?家に入らないの?」
「え?ああ、ごめん!ママ!今行くよ!」
何はともあれ、元の世界に帰ってこれたのだ!
日常に帰れる喜びを改めて噛みしめているセルフィであった。

ーおわりー




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