Nicotto Town


まったり時間。


【お話】花園は、どこにある?

部屋の中から、秘密の花園へ。一杯のお茶を飲みながら、イメージの翼を広げれば、どこへだって行ける。

もらったステキコーデ♪:27


部屋の中で、お気に入りの紅茶を飲んでいた。

くつろいで、のんびりと。

ふと、緑の影を見た気がした。

ハーブやばらの香りが、どこかから漂った。

そうしたら、思い出したの。

子供のころに読んだ、物語。

『花園にいます! 花園にいます!』

叫んだのは、誰だろう。登場人物? 作家本人?

気難し屋の女の子が、

出会った人を、次々と、花園に導いていく。

こまどりが歌い、ばらが香る庭で、

命が再生されていく。

『花園にいます! 花園にいます!』

叫んだのは、その女の子。そして、わたし。

気がついたら、そこにいたわ。

わたしの体は部屋の中にあって、

手には、お茶の入ったカップを持っているの。

でも、命の輝く花園もまた、そこにあって、

わたしはそこにも、存在していた。

『花園にいます! 花園にいます!』

物語って、生きているの。

時を超えて、空間をものともせずに、

生きて、そこに。存在しているの。

だから心を自由に解き放てば、いつだってわたしは、

花園にいることができる。

命あふれる、花盛りの庭に。


* * *


バーネットの『秘密の花園』。

息子さんを亡くした後に書かれた作品です。

バーネットはしばらく、作品を書かず、静かに暮らしていたそうです。

庭仕事をずっとしていたとか。

悲しみや、苦しみが、土を作り、花を、緑を育てているうちに、次第に昇華されていき、

最終的に、この作品となったのではないか、という気がします。




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