Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


本中毒(後半)



(承前)


●38巻 南欧・東欧編(1)
ドン・キホーテ(セルバンテス)プラテーロとわたし(ヒメネス)まごころ(デレッダ) ほか2編

●39巻 南欧・東欧編(2)
ピノッキオ(コッロディ)クオレ(デ・アミーチス)

●40巻 南欧・東欧編(3)
ジャン・ブルラスカの日記(ヴァンバ)黒い海賊(サルガーリ)
パール街の少年たち(モルナーレ) ほか2編

●41巻 東洋編(1)
アラビアン・ナイト ラーマーヤナ(バールミーキ)インド民話 ほか3編

●42巻 東洋編(2)
西遊記(呉承恩)中国民話 東南アジア民話 ほか4編

●43巻 東洋編(3)
三国志(羅貫中・作)水滸伝(施耐庵・作)聊斎志異(蒲松齢) ほか1編

●44巻 東洋編(4)
たからのひょうたん(張天翼)三人の先生(朱明政 朱明軍)故郷・宮しばい(魯迅) ほか13編
落窪物語 平家物語 曽我物語 東海道中膝栗毛 弓張月物語 他

●45巻 日本編(1)
古事記 竹取物語 日本民話 ほか2編

●46巻 日本編(2)
今昔物語 平家物語 太平記 ほか3編

●47巻 日本集(3)
八犬伝(滝沢馬琴)東海道中膝栗毛(十返舎一九)雨月物語(上田秋成)

●48巻 日本編(4)
現代日本文学名作集

●49巻 日本編(5)
現代日本童話集

●50巻 世界少年少年少女詩集 世界童謡集
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やっと終わった。途中でゲシュタルト崩壊しそうになった
多分このうちの半分くらいしか読んでいない
実はこれら50巻が部屋の一角に並んでいる光景は(幼い私は)覚えていない
私の最後の記憶は一つか二つの段ボール箱に納められているそんな状態だった
7回の引っ越しを経験をしたこれらの全集は最終的にそういった収納に落ち着いた


☆エピソード1
昭和38年頃くらいか、当時の日産自動車が新車の名前を公募した
日産といえば当時一番有名な車はセドリック、上記13巻、小公子(バーネット作)の主人公名である
そこで我が家は葉書で【セーラクルー】と応募した
それは小公子の対となる作品、小公女の主人公名である
我々は採用されるのを疑わなかった
数か月後、発表された車名は【サニー】であった
落胆と罵声が北の地で微かに響いた


☆エピソード2
17巻に収められている「赤毛のアン(モンゴメリー作)」を当時私は読んだのか
記憶はあやふやだ(多分読んでいない)
その後私は高2に少女マンガに目覚めた。何故か急に少女小説を読まねば
(勉強せねば)と思い、いきなりアンブックス(当時全10巻)を読破した
続いて、エミリーブックス(モンゴメリー作)全3作、⁽果樹園のセレナーデ⁾、⁽パットお嬢さん⁾
など、すべてのモンゴメリー作品を読み倒した(もちろん全て大人版)
次にやはり大人版のバーネット作、小公子、小公女をたいらげた
しかし少女小説遍歴はそこで絶えた
数年後ジュニア小説なるものが巷間に出始めたというが、そのころの私はマンガで手一杯だった
なにせ月に(週刊、隔週刊、月刊、クオータリー、不定期刊、月刊とは違う別冊すべてあわせて)
殆ど全ての40~50冊は目を通していた。2/3は購読し、あとは同志(全員女性)から読ませてもらった
あれれ、、、饒舌ストップだねw


☆エピソード3
もはや話の軸がずれてきた。高校生である。受験が迫っている
丁度上記の、本来勉学に勤しまなければいけない時期に
事もあろうに、やれSFだの、やれ本格推理小説だの、やれ怪奇小説だの、やれファンタジーだの


今解った

文字の魔力に囚われたのだ
全部少年少女世界文学全集のせいだそうに違いない
絶対そうに違いない




SF?
しちめんどくさいテーマばかり好んでしまった
バラード、ディック、ディッシュ、オールディス、エリスン、殆どがニューウェイブ
(こともあろうに、当時の萩尾望都さんの作品の枠外には彼らの名前が踊っていた)

本格推理小説?
なんでここもしちめんどくさい巨匠ばかり好みだったんだよ
クイーン、ヴァン・ダイン、この二人だけでも相当な労力(別な言い方をすれば至高)

怪奇小説?
こんなきりのないジャンルに引き込まれたのは二つの存在
創元文庫と、⁽幻想と怪奇⁾というマニア集団のせい
だって、知能指数でいえば今いらっしゃる人間の中でBEST2の紀田順一郎氏と荒俣宏氏の双頭が
頑張っているんだから

ファンタジー?
ここは底なし沼ですよ。
トールキンの洗礼を評論社のおかげで早目に受けられましたが
ここはひどい。
ピークのゴーメンガースト3部作でもうズタボロ





さてさて、文字に侵された人間の末路を綴っていくコーナーも終わろうとしています
もうわかるでしょう?
さすがにおわかりでしょう?

すべてはあの【少年少女世界文学全集 講談社版】が元凶なのです
私は多分特にダメージを負いましたが
3人の姉とて推して知るべきです
全員本中毒の罹患者です
我ら4姉弟に《文字という毒》を買い与えた我らが父に今はこう言うしかないのです


<ありがとね、お父ちゃん>

アバター
2022/05/29 20:54
さいわいでした
アバター
2022/05/29 19:01
子供の頃に読んだ本は影響を受けますね。
少年少女世界文学全集、良い本に巡り会えて感謝ですね。




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