Nicotto Town



南の魔女クレア121


クレアは修道院の管理棟と呼ばれていた100人以上の修道院が居住していた棟よりは少し小さいのですが其れでもクレアが育った館よりも大きい或いは首都のトウニで見た貴族の館よりも大きくがっちりとしたレンガ作りの建物を自分の館に外観も内装も変えると決めた時から魔女の城には出来ないのであきらめたモゾリアナ国の金持ちの館の外観からでも見える立派な大きなステンドグラスを館のどこかに付けたいと思っていました。

其の事をクレアが契約している建築会社のトウニの本店まで行ってクレアの館の改装の責任者と相談するとトウニでもモゾリアナ国の影響で数件の貴族や大商人の家でステンドグラスを付ける家が出てきて其の会社も大きなガラス工房と契約しているとの事で更に其の責任者と一緒に之まで手掛けたステンドグラスを付けた家を外観から見る為につれて行ってくれました。

どの家も素敵なステンドグラスを玄関のドアの上の明り取りや庭に出るガラス戸の周りをぐるっと綺麗なステンドグラスで囲っていたりと素敵な作りになってましたがクレアがモゾリアナ国で通りすがりに外観から見ただけの家々でしたが恐らく階段の踊り場か吹き抜けになって居そうな部分の二階の壁の一部が縦横2mから3m位ある一面が一枚素敵な模様のステンドグラスになっていて其の見事なデザインのステンドグラスが競う様に並んでいる家々を眺めるのと胸がわくわくしたのを思い出します。

モゾリアナ国では大勢を招いてのパーティをする事を禁止されていたので庭も華美に飾ってパーティをする事を禁止されていたので庭はどちらかと言うと飾り気のない花が無い緑の草木をどの家の植えていたのですが其の分ステンドグラスで競っているかの様に開ける無い階段の踊り場や恐らく二階に上がった処の一部の壁で外から見える場所に一つの壁全体がステンドグラスになっていて其のデザインがそれぞれ素晴らしかったのです。

クレアは其れをしたかったので其の階段の踊り場の壁一面を一つのデザインで大きなステンドグラスにしたいと言いました。

其の建築会社の人と契約したガラス工房に行って打ち合わせをしたのですが、
ガラス工房の主任と数人のデザイナと職人が実際にモゾリアナ国の其のステンドグラスの家々の外観を既に見て回っていたのとモゾリアナ国から引き抜いた何人かの職人が実際に其れを作った者もいて彼らが言うには其の大きさだとトウニの工房から出来上がったステンドグラスをクレアの修道院があるゾナセル村まで運ぶのは出来ないとの事でゾナセル村に工房を作って其処で半年か1年がかりで作る案が出されてクレアはゾナセル村に在る唯一の鍛冶屋のドルガの工房を使わせてもらう交渉をしました。

ガラス工房の職人が一緒に来て鍛冶屋の工房では小さいので今の倍の広さともう一つガラス専門の炉が必要との事でクレアがお金を出してドルガの鍛冶屋の一階の部分をトイレとシャワー室とキッチンを残して残りをガラス工房に作り替えて借りる事にしました。

ドルガの家は妹夫婦と一緒に住んでいて其の妹の夫が前の事件で刑務所に入っている時に刑務所内でいじめに在った様でちょっとした良い顔だったのですが顔に酷い傷を負わされてかえって来てから働かず家に引きこもりになっていたのを村長が見かねて村長の家のコック見習いとして村長の家の厨房でコックの下働きをしていました。
ドルガの妻と妹がクレアの畑の繁忙期に来る季節労働者の賄いをしたりして家計を助けて居ました。

ドルガ達は相談をしてクレアが改装費と同時に半年分の家賃も一度に貰って其のお金を元に村に無かった小さなレストランを作って其処に妹夫婦を住まわせて妹の夫が厨房で料理を作って妹がウエイトレスすると言う事にしました。

村で唯一の大工の家だけでは出来ないので工房の方はトウニから専門家の大工を呼んで修道院の修道僧たちが住んでいた部屋を使わせる事にして工事がクレアの館の最初の工事が其処から始まりました。

其の日はステンドグラスのデザインをトウニのガラス工房の3人のデザイナーが作った絵を見て決める為にクレアはトウニに来ていました。

3人のデザイナーのデザインの中でデザイナー見習いだった初めての女のデザイナーの描いた絵がクレアが一目見て思わず「素敵・・・」と声が出てしまう程気に入って其れに決めました。
其れは今までモゾリアナ国の色々な家の壁一面の素晴らしいステンドグラスでも見た事が無い絵でした。

職人達も此れはガラスの色を作るのが難しいとの事だが金に糸目を付けず何度もガラスの変色をさせてくれるのならやってみたいと声をそろえて言います。
其のために職人の中でもベテランがゾナセル村に行く事を希望しました。

クレアもワクワクしました職人達も目を其の挑戦に目を輝かせていて話はとんとん拍子に進んで気分よくクレアはガラス工房を出て食事をする為にレストランを探して歩いていると一人の男に声をかけられました。

振り向くとダルニでした。彼は少し日焼けした顔をして警邏官の雰囲気よりも少し和らかい感じがして以前よりもとっつきやすい雰囲気でしたがやはりいつものニタリニタリとした笑顔をしてクレアに近づいてきました。

彼はクレアを食事に誘いました。クレアもダルニと同じようにまだお昼には早い時間なのにお腹がすいていたので其の誘いに応じました。

ダルニが案内してくれた店は昼前なので来んでなく雰囲気もクレアがちょうどこんな店に行きたいと思っていた様な店だったのでステンドグラスの事も上手く進んでいるので機嫌が良いクレアの今の心境にぴったりした店なので更にクレアは上機嫌になりました。

席について料理が来るまでの間ダルニはクレアに報告しなければならない事が在ると言って自分がボルアートの義姉と再婚した事を言いました。

クレアは店中に響き渡る様な声で驚いて言いました。「貴方!其れは重婚じゃないの!?確かご病気でサナトリアムに入っている奥様居ると言っていたでしょう!」クレアの声を押しとどめる様に手で合図を送りながらダルニは「彼女とはとっくに離婚したよ。」と言ったのでクレアは眉をとがらせて「病気の奥様を見捨てるなんて"あいかわらず”最低の男ね!」と吐き捨てる様に言いました。

ダルニはクレアの変わってない言葉での悪態を少しため息をつきながら聞き流して「あっちからの離婚の申し出に応じただけだ。」と言いました。

すかさずクレアは「どういう事?病気だったのでしょ。病気を苦に貴方に気兼ねしたの?可哀そうに・・・」と言うとダルニは少し冷めた様な顔をして「実は違ったようなのだ。僕も本当に病気だと信じていたのだが後から人を使って調べさせるとサナトリウムには殆どいなくて僕が見舞いに行くときだけサナトリウムに居て後は殆ど実家に帰っていたようだ。要するに田舎暮らしが我慢できなかったのさ。」ダルニは少し間を開けてダルニにしては珍しく顔の表情に少し険しさが出てクレアは(あら!)と思いました。

「僕も離婚話が進んでから人を使って調べさせて解ったと言う此れが警邏官の諜報部の一員とは思えないほどの失態だよ。」と言いました。「貴方、諜報部だったの!?」とクレアが言うと「君はとっくに知っていたのかと思っていたよ。今も君は僕の管轄の中に入っているけど」と言いました。




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