Nicotto Town



仮想劇場『猜疑心ブレイブ』


 たとえば、信じていた大事な大事な人に心無い言葉を浴びせられたとして、その日を境にその人の事を疑ってしまうようになったのなら、僕はトコトンその人を疑うようにしている。
 そのほうが無理に自分を諫めるよりはずっと素直だと思うし、何よりその人の事をもっと深く知れる機会になるだろう。結果的にその大切な人をもっともっと好きになれるかもしれない。

 そうやって僕は【疑う】という行為を怖れない。何より大切なのは上辺だけの関わりに留まらないよう自分をちゃんと保持していく事。


 たとえば、ある日突然この僕が社会の敵に認定されて強い迫害を受けたとしても、無理に言い訳はしないし抗うつもりもない。ただ素直にその事実を受けとめて変わらぬ姿勢で歩いていこうと思う。
 そうしなければきっと僕は世界を呪ってしまうだろう。その結果本当の社会悪に成り下がってしまうかもしれない。

 だから僕は【疑われる】という現象を怖れない。何よりも真っすぐに怖いのは忌み嫌われるのを交わすためだけに、自分自身を覆い隠すような嘘を繰り返してしまう事なのだから。



 町はずれの小さな教会で青い瞳の少年は祈りの先にいくつもの悔し涙をこぼしてきた。その涙の一粒一粒にちゃんとした理由(わけ)があり、そして報われなかった現実がある。人々はそんな事には目もくれずに今日も変わらぬ轍を刻むだろう。いつだって無情だ。

 だからこそ僕は猜疑心を怖れない。

 たとえそれが、自分自身を深く疑うことに変わったとしても。



 
 

アバター
2022/05/23 19:52
にゃんこだぞ(おっさんだけど
アバター
2022/05/23 06:38
この話にでてくる小さな教会の青い瞳の少年、まるでわたしだな(´・ω・`)おっさんだけどw



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