Nicotto Town


五飯田八宝菜の語学学習日記


1533番:さすらいの青春(124)

さすらいの青春(124)


——————————【124】—————————————

 Le vieux grand-père,  avec son air broussailleux
de grand berger gascon,  ses deux pieds lourdement
posés devant lui,  son bâton entre les jambes,  incli-
nant  l'épaule pour cogner sa pipe contre son sou-
lier,  était  là.  Il approuvait de ses yeux mouillés et
bons ce que disait la grand'mère,  de son voyage et
de ses poules et de ses voisins et des paysans qui
n'avaient pas encore payé leur fermage.  Mais je
n'étais plus avec eux.

———————————(訳)———————————————

  髪も髭も伸び放題のガスコーニュの牧師の呈で、
二本の足をどすんと前に置き、そして杖は両脚の
真ん中に置き、肩を片方に傾けて、そしてパイプを
 靴に叩きつけている老祖父がそこにいた. 祖父は
その潤んだ、人のいい眼で今度の旅行のことや、彼
らと隣人の雌鶏や、小作料未納の百姓たちに関して
祖母がいうことにうなずいていたのだった..
 

——————————〘語句等〙——————————————
    
broussailleux(se)[brusajø, ø:z](形) ❶茨の生い茂った、草ぼうぼうの
      jardin broussailleux  草ぼうぼうの庭 
     ❷(髪・ひげが) もじゃもじゃの      
gascon(ne)(形) ガスコーニュ地方の、
         (名) ガスコーニュ人
gascon (m) ガスコーニュ方言   
berger (m) 羊飼い、聖職者、牧師       
lourdement (副詞) ❶重く、ずっしりと、  ❷重たげに、のろのろと
  marcher lourdement  のろのろ歩く
inclinant [アンクリナン](現在分詞) <incliner (他) 傾ける、(頭を) 下げる
    incliner la tête / 頭を下げる
épaule (f) 肩
cogner [コニェ] ❶(自) [sur, contre, à, dans を] 強く打つ、たたく  
      ❷(他) ~をぶつける [sur, contre, à, dans に]     
soulier (m) 短靴
approuvait (半過去) <approuver (他) 
   ❶同意する、賛成する、ほめる、 ❷許可する、承認する
mouillés (過去分詞) <mouiller [ムィエ](他) 湿らす、濡らす 
   yeux mouillés 涙に濡れた眼
poule [プール](f) 雌鶏、雌鶏の肉
  La poule pond des œufs. / 雌鶏は卵を生む.
fermage (m) 小作料  


——————————(文の構造)————————————————

きょうの箇所は長文になります.
長文というのは、なかなかコンマが現れない.
水泳でいうと、息継ぎがなかなかできくて、苦しくなる.
トンネルでいうと、なかなか出口が見えず、不安になる.
そういう文です.
こういうときは先回りして、主語Sと述語動詞Vを捕まえに行きます.
逮捕します.すると、挿入語句が「どでか~ん」といすわっているやつ
がいるのがわかります.さきにこれを逮捕しましょう.

❶avec son air broussailleux de grand berger gascon,
❷ses deux pieds lourdement posés devant lui,
❸son bâton entre les jambes,  
❹inclinant l'épaule pour cogner sa pipe contre son soulier,


❶髪も髭も伸び放題のガスコーニュの牧師の呈で、
❷二本の足をどすんと前に置き、
❸杖は両脚の真ん中に置き、
❹肩を片方に傾けて、そしてパイプを靴に叩きつけている
 

それで、肝心の主語と述語はというと、たったこれだけ.
➎Le vieux grand-père était là.
 老祖父がそこにいた.

こんなちいさな文にあんなたくさんの挿入語句があったのだ.
ユーチューブで蛇が大きな動物を飲み込んでいた動画を見たことが
あります.まさにそんな感じの文でした.

❶~➎を繋ぎ合わせると
「髪も髭も伸び放題のガスコーニュの牧師の呈で、
 二本の足をどすんと前に置き、そして杖は両脚の
 真ん中に置き、肩を片方に傾けて、そして
  パイプを靴に叩きつけている老祖父がそこにいた.」

となります.

以上、ヘビの解体ショーでした.

あ、もう一度解体ショーがあります.今度はヘビのようなヘビー
な挿入ではなく目的語部分がとても長くて、わかりずらくなって
います.

Il approuvait de ses yeux mouillés et bons
ce que disait la grand'mère,  de son voyage et
de ses poules et de ses voisins et des paysans qui
n'avaient pas encore payé leur fermage.

今度の本体は、Il approuvait とce que ~ 以下
つまり、本体が2つに分かれたケース.しかも、
後半が長文.ce que 以下です。名付けて瓢箪文.
本体は、S + V + O という構造です.
まず、O (ce que 以下) を見てみましょう.
❶ce que disait la grand'mère おばあさんが言っていること
❷de son voyage et  祖父母の今度の旅行と
❸de ses poules et de ses voisins 彼らの雌鶏とお隣の鶏について
❹et des paysans qui n'avaient pas encore payé leur fermage.
   そしてまだ小作料を支払っていない百姓たちに関して
❶+❷+❸+❹=➎
➎「祖父母の今度の旅行に関して、彼らの雌鶏とお隣の鶏について
  そしてまだ小作料を支払っていない百姓たちに関して
  祖母が言っていること」
これ全体がIl approuvait の目的語です.
最後に de ses yeux mouillés et bons  潤んだ優しい眼で
を付けて
Il approuvait de ses yeux mouillés et bons ce que
disait la grand'mère,  de son voyage et
de ses poules et de ses voisins et des paysans qui
n'avaient pas encore payé leur fermage.

彼(祖父)はその潤んだ、人のいい眼で
今度の旅行のことや、彼らと隣人の雌鶏や、
小作料未納の百姓たちに関して祖母がいう
ことにうなずいていた.




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