新型コロナウイルスによる脳損傷の現実について
- カテゴリ:美容/健康
- 2022/01/12 10:16:17
(mirrorです)
デルタ株から更に感染力の高いオミクロン株へと,新型コロナウイルスの主流は移り変わりました.
ワクチンの効果は早期に接種した群ではほとんど消失しているとされています.(ブースターワクチンについてはまた後日)
誰しもが罹患する危険性の高いオミクロン株ですが,デルタ株よりも軽症で済むケースが多いということは確かにあるものの,感染が広がれば母数が大きくなり脆弱な人々にとっては驚異となります.
また軽症であってもこれまでの新型コロナ感染症でわかっている後遺症が引き続き発症する可能性は変わりありません.
今回は以前から報告されていた"ブレイン・フォグ"と言われる脳の後遺症について新たにわかってきた情報を論文と,それらを元に書かれた記事から説明します.
コロナ感染で人格が変わる? 脳研究でわかってきたこと(日本語)
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/010700642/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005
ナショナルジオグラフィックの記事ですが,実例を紹介しつつ解りやすい文章でまとめられていますので是非ご一読ください.
新型コロナウイルスに感染しやすいとされる,神経組織を支えるアストロサイト(星状膠細胞)という神経細胞はニューロン間の伝達の調節や血液脳関門の形成などにも関わる重要な細胞です.
アストロサイトが新型コロナウイルスに感染すると機能が変化し,健康な脳を維持する役割を果たせなくなる可能性があります…ということですが,血液脳関門が正常に働かなければ脳内に免疫細胞が入り込み炎症を起こした結果,脳細胞が大量に破壊されるということは容易に想像できる事態です.
では,ワクチンによるmRNAは私達の脳へ何らか問題を起こす可能性はあるのでしょうか?
またそれを運ぶLNP(脂肪ナノ粒子)に対する懸念は?
こちらの論文ではそれらの可能性について憶測を交えた解説がされています.
Concerns of Lipid Nanoparticle Carrying mRNA Vaccine into the Brain: What to Make of It?(英語)
https://medium.com/microbial-instincts/concerns-of-lipid-nanoparticle-carrying-mrna-vaccine-into-the-brain-what-to-make-of-it-42b1a98dae27
引用すると長くなってしまうのと,内容が前後するので私が読んでみて理解しやすいようにまとめてみました.
<概要(意訳)>
LNPがどのよような細胞のタイプ入るのかという包括的なデータはまだなく,またLNPは元々血液脳関門を通過するように考えて作られていることを鑑みるとmRNAワクチンは脳と脊髄に到達する可能性は否定できない.
その場合,他の細胞と同じくがん細胞を殺す細胞傷害性T細胞などの免疫系によって異物と認識される可能性がある.
しかしながらmRNAワクチンが注射部位から脳に到達するためには筋細胞→リンパ系と血流に入りその経路全体に存在するあらゆる細胞に取り込まれ,また心臓で血液を送り出される際にも崩壊する.これらの障害を乗り越えたものだけが全身に運ばれるため,脳にまで到達するすることはあまり考えにくいが脳や他の臓器がLNPと遭遇しないとまでは言えない.
とはいえ仮に神経損傷があったとしても,それはほんの少しであり健康に害を及ぼすことはないと思われること,そして少なくとも今のところは長期的な懸念の兆候はないようである.
このように僅かな懸念はあるにしても,最も重要なことはLNPやmRNAの仮想的なリスクと実際のコロナウイルス感染症とを比較検討することであり,もし罹患すれば新型コロナウイルスは脳や他の多くの臓器に"確実に侵入する"のに対してワクチンにおけるこのような可能性は遥かに低いという事実を知っておく必要がある.
また,アストラゼネカのワクチンで稀に見られた副反応,免疫性血小板減少症についてもちょっと触れられています.あくまで憶測ではあるが…ということですが,LNPがmRNAワクチンを骨髄の巨核球に運んでいたのではないかと.そして巨核球はスパイクタンパク質を発現して細胞傷害性T細胞によって破壊された結果,血小板が不足し血小板減少症を引き起こした可能性があるとのことです.
これについては今後の研究でまた明らかになってくるでしょう.
ちなみに不活化ワクチンなどの弱毒化されたワクチンはmRNAワクチンほど広い範囲の組織に運ばれない事がわかっているので,今後のワクチン開発にも注目したいです(ただ効果がいまいち過ぎるのが現状では難点か).
3回めのブースターワクチン接種が始まり,順次進められていますがこれの効果についてはまた次回に.
後遺症についてはこれまでと同様であり,軽症であっても後遺症は長く残ることも解っていますから,くれぐれも注意して過ごしていきましょうね.
コロナに感染した人が認知機能まで影響を受けるという記事は
この病気の恐ろしさを垣間見た気がしました
ブースター接種も含めて出来る限りの予防をしなくてはと改めて感じています