Nicotto Town



南の魔女クレア81


クレアは一日半程ぐっすりと寝ました。
お腹がすいて目が覚めたけど食事を作るヤギのメイドは幽霊のマキバルの所に置いてきています。残っているのは掃除専門の羊のぬいぐるみと何だか解らない犬の様なぬいぐるみです。
とりあえず下に降りて古いクッキーの残りとイチゴを大量に積んできて其れで食事を済ませました。
荷車に乗せて置いた果物は既に腐っていたので果樹園に捨てて肥料にして新しく果物を成熟したのから荷車一杯にしてロバにひかせて港の市場に持って行きました。朝の船は出て明日の出荷になるが待っていたと言います。夕方もう一度持って来て良いかと聞くと夜にももう一度持って来て貰うとちょうど小型の漁船で朝出発できると言います。
兎に角ロバに頑張って貰って其れをしないと買いたい自分の食べる物がありません。売れたお金で卵を含めて色々買って帰って直ぐに次の果物の採取に取り掛かってまた市場に向かいました。3回目は流石にロバが嫌がりましたがクレアが励まし励まし3度目を運んで何とか果樹園の熟成しすぎの果物は何とかなりました。
後で聞いたのですが熟成しすぎた果物は甘いと評判だったそうです。
何とか当面の資金と食料は確保できたので蒸しパンを作って食べてやっとホッとしました。

「魔女の回復薬」は当面魔法を使いたくないので考えない様にしてお風呂に入ってクレアは当面は果物を売って細々と生活をしていこうと思いました。
兎に角全身を洗えるのは気持ちが良いとクレアはつくづくおもいました。 

そうやってのんびりと暮らしていると特別な人だけが知っている薔薇の蔓で囲まれた所の一か所の一本の蔓を引っ張るとカランカランと鳴り人が来たと知らせるベルがなりました。
誰だろうとクレアが森を開けておりて行くとアクレがパンと牛乳を持って来ています。
アクレの話だと二日前にお父さんが帰って来たのだそうで今朝からパンを焼いたとの事。

そうだとクレアは思いました。此の国はモゾリアナ国と違って麻薬草に関しての法律が甘いのだ。
更に初犯でおどされて麻薬草を薬に変えただけならモゾリアナで10年は重労働をさせられるのに全く違うのでした。
勿論主犯格の奴は殺人罪で直ぐ処刑されただろう。要するに刑務所が少ない上に人件費がかさむので刑務所の所員も少ないので殺すか早くに出すかなです。
だから此の国は商売で脅迫や脅しや良くてはったりでそれとなく後ろに怖い奴が居ると言う様な雰囲気や権力者が付いていると言う雰囲気が重要になるのです。
クレアははぁ~っとため息をついた。アクレは親父がした事は悪い事だと解っているけど俺は帰って来てうれしいと申し訳なさそうに言います。
クレアは「そうじゃなくて、アクレのお父さんはパンを焼く仕事があるけど他に帰った男は殆ど仕事が無いんじゃないの?」と言うとアクレは女の人がクレア農場で働いたお金で暮らして帰って来た男の人達は働いてないと言うのです。
仕事が無いとまた港町に来て結局悪い奴らに利用されて悪の道に入る事は目に見えてます。

アクレが帰ってからクレアはまた深いため息をついて「やるしかないか!」とたちあがって例の少年用の水着と水中眼鏡と足ひれを付けて龍にまたがりって湖に行きました。
そしてクレアの龍は水龍で無いので湖の湖面の上で待たせておいて此の辺りだと思う所に深く潜りました。
何度か繰り返して場所を変えて潜っている内に見つけました。
やっぱりあったのです。

クレアは此の湖で夜に潜る練習をしている時に月の光に反射する数個の光を見ていてもしかしてあれはと思っていたのです。
つまり多くの人が昔から此の湖で大金持ちがボートを転覆させたか何かの事故で宝物を沈めているに違いない、其れが湖の其処にあるのでは其の宝石が月の光に反射したのではとクレアは思っていたのでした。
クレアは何日も潜ってかなりの量の宝石を撮りまくりました。

其れの一部をもってクレアは龍に乗ってイドエルの所に行って現金に変える方法は無いかと聞きました。
イドエルは此れはどうしたのかと聞いたので要するに誰の物でもないどこの領土でもない深い海の底に落ちていて持ち主不明の物でどこの国も誰も所有権の無い者が見つけた者の物になる物で其処にはクレアしか行けない場所にあると言いました。
湖だと言うと其の場所によってシドリアル国かクロラルド国の所有物になるから湖と言えない事はクレアにも解ってました。

イドエルはしばらく考えて数日後にまた来るように言いました。
数日後に行くとイドエルが預かっていた宝石を持ってやってきて数人の紳士が居る部屋にクレアはつれて行かれました。
立派なテーブルと椅子にちょこんと座って何が起きるかとみているとイドエルは彼らの前に宝石を出してこれらは此のお婦人が家の整理をしていた時に偶然見つけたものとシドリアル王国保存会のメンバーが家の家宝を寄付した物と更にシドリアル城の近くの氷の下の氷土深くの土の中から採掘されたものです。
どれがどれだとは個人情報があって言えませんが分け合って手放す事にしました。
お値段はまずそちらでご提示願いたいと言いました。

一人の宝石商がクレアの服装を見て其れも其の時出てきたものでしょうか?と聞くのでクレアは恥ずかしそうに「はい」と答えました。

クレアはお母様とテーラーさんの話を聞いてから何故かお母様の服を着たくなくなったのです。だからと売る気にもなれず其れよりも箱を開ける気にもなれなくなったので過去の魔女が来ていただろう服の中からマシだと思う服を出かける時はずっと来ていました。

宝石商は宝石を見る眼鏡をかけて其の服についているボタンを一つ一つ見て100年は立っているが本物の宝石でしょうと言いました。
クレアはびっくりしてまじまじと其のぼろい服と思っていた服を見直しました。
とりあえずクレアの持ってきた宝石はクレアが考えていたよりも高額で売れました。
イドエルは其のお金の半分をクレアに渡して此れは手間賃だと言いました。
どうせ君だけでは売る事が出来ないのだろうと言って紳士的な笑顔を見せました。
クレアは其れに従うしかありません。此の国はそう言う国なのです。

其れでも其のお金を持ってクレアは幽霊のマキバルを連れてジルドの建築屋さんに行って修道院の塀の修復を依頼しました。
条件は出来るだけ現地の男達を労働力として雇う事です。
其の後の事は修道院にはマキバルが居るので相談して決める様にと言って帰って来ました。

村の診療所はバロルドさんの息子さんがバロルドさんの死を知って息子さん夫婦が後を継ぐために来ていました。
其れまで無給で働いていたしグラートに給料を払いたいと言って其れなりの金額を渡すと彼は其れを断りました。
この村の現状を知っているしお金の為に居たのではないと言います。
クレアは自分の家の魔女の家の果物を売ったお金だからと言っても受け取ろうとしません。
クレアは何か困った時にもう貴方を頼れなくなるからと言うと其れではとやっと受け取ってくれました。

クレアはこう言う面倒な奴は苦手と父から教わった商人達との付き合い方と違った価値観の持ち主とキリアマリ人達の極悪な人達とそしてほおって置くと悪の道に流れて行くボルアートの村人の様な此処の村人達と其々総てが違う人達に色々考えるのが疲れたと思いました。
どこか遠くの誰も知らない所に行きたいと思ったりしました。







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