Nicotto Town



南の魔女クレア80


クレアは龍とフクロウ人間に抱えられる様に魔女の家に戻ってからも震えが止まりませんでした。

最後まで何とかクレアにしか出来ないんだと言うカリドの言葉を支えに「真実の鏡」を持っているのが精一杯でした。
彼らの話す真実の内容は余りにも残酷で村人達に起きた悲劇は悲惨な物でした。

バロルド氏が死んでから村長も見て見ぬふりをして泣き叫ぶ少女が連れ去れているのを見ているしかなかったのです。
逆らう男も女も子供も彼らは容赦なく殴り蹴り踏みつけました。
妊娠していた若妻は腹をけられて流産させられました。夫が逆らった見せしめでした。其の若妻は苦しみ悶えながら息絶えました。其の遺体は川に捨てられました。
警邏隊員が其れをした犯人を川につれて行って腐敗した遺体を発見しました。
今回身内に被害者や加害者はいても本人達はほおっておかれた老人たちが村のお墓に其の遺体を埋めて葬ってあげてました。
彼らは人間でしょうか?其れでもモゾリアナ国と違って麻薬草に対して甘い法律の此の国の法律で裁かれるのでしょうか?其の為にもカリドに言われて彼らのした悪事を総て暴かなければならないのです。
其れにはどんな些細な事でも彼らがした事は話させなければなりません。
クレアしか其れが出来ないのなら「真実の鏡」を持ち続けるより他に無いのです。
次の日もフクロウ人間に促されてクレアは村に向かってモゾリアナ国の警邏隊の協力の元まだ残っている村中の総ての麻薬草と其れで出来た薬の捜索の為に村人を含めて主犯格の犯人達に話させました。
もう話す事は無いと言うのが本当だと解った者達からどんどん其の罪状を書いた紙をしっかりと本人にクレアの蔓の紐に括り付けて離れない様に魔力をかけてシドリアル国の警邏隊の護送車に移してシドリアルの警邏隊に連れて行って貰いました。

更にクレアはフクロウ人間の助言に従って匂いをかぎ分ける蝶の妖精を使って総ての麻薬草の一片のから薬の粉まで総て見つけ出して他に連れて来た果実を採取する妖精たちにとって来させてました。

シドリアル警邏隊はモゾリアナ国の最高位の長官の一人のクラスバー本人が来ている事をイドエルに伝えるとイドエルも警邏隊副長官を午後には寄こしました。

クラスバーが自国では直ぐに焼却処分にすると言う事を言うとシドリアル警邏隊長官も其れに従って村から出た麻薬草も薬も総て燃やす様にと言ったのでクレアがまとめて一瞬で指から火を放って燃やし尽くしました。

目の前で村中の麻薬草が総て妖精たちによって見つけられて持って来られて一瞬で燃やされて犯人達は魔女の力に驚いたようでしたがこんな事は何の造作もない事をモゾリアナ国では知られている事でモゾリアナ国の警邏隊にとっては当たり前の事でした。
其の事は歴史書に書いてあって彼らは知っていたのです。
此れからがクレアの正念場でした。本当の力をクラスバーやアルガーが知りたがっていた事を見せる時が来ました。
クレアは修道院の幽霊を実体化しました。
つまり殺される前の更に彼が一番自分が良いと思っている本来の姿を実体化させたのでした。
思わぬ姿がそこに現れました。彼はクロラルド国の200年前の公爵家の息子で身代金目的で海賊に誘拐されて荒波に船が転覆した時に死んだのでした。
だから現れたのは攫われる前の当時の公爵家の王子様な姿でした。

クレアはちょっと引きましたが彼に麻薬草の元値を腐らせる薬を持たせると麻薬草が群生したと言うリヤド農場と此の村のちょうど中間点にある美しいお花畑に蝶の妖精達と其の仲間の妖精を幽霊の王子様のマキバルをつれて行って其の後をクレスバーとアルガーと数人の警邏隊の前で妖精たちに麻薬草の根源の元値のある場所を探させるとマキバルにアルガーに一滴で良いと言われたので一滴試しに付けさせてみると複数の花畑に出ていた麻薬草が枯れて行ったのをアルガーと確認して此れで良いかと聞くとマキバルがまだ完全に根が消滅してないと言うので二滴にしてマキバルが其の根の大きさによって違うと言うので其の根によって一滴にするか一滴半にするか二滴にするかをマキバルに任せる事にしました。

そうやって匂いが人間の何万倍も鋭いとする蝶の妖精に麻薬草の根元を見つけさせて幽霊のマキバルが地中に消えて目の前の花畑が変化すると麻薬草が枯れて腐って解けているのを見せられてクレスバーは魔女は幽霊も使途として使うのかと驚きました。

此の辺りのかなりの広範囲には麻薬草は根絶したと言う蝶の妖精の話と後はコウアニ地方とバスタ地方にまたがる魔女の森の中と其の近辺と他の国に入ってしまうと言うのでクラスバーに其れは私でも手が出せないと言って此れでやめる事にしました。

クラスバーはクレアの働きをほめて此の村を警邏隊を引き連れて帰って行きました。
医者のシグラードはしばらくの間この村に医者がいないので残る事にしてクレアには此の村とクレア農場の立て直しの仕事が残っていました。

まず小作人達に人間は弱くて信用が出来ないのでマキバルは既に100年以上此の修道院に住み着いて何でも知っているので経営を任せても大丈夫だと言う事で幽霊のマキバルを当面の間クレア農場の管理人にすると言いました。
小作人達は前の管理人にうんざりしてましたので其れでかまわないと言いました。

マキバルには羊の掃除ぬいぐるみ人間とヤギのぬいぐるみメイド人間を修道院に一緒に住まわせて修道院の掃除と維持管理と農場の管理を3人に任せました。
其れから当面は村にはお爺さんとお婆さんと子供と麻薬草被害者だった女だけが残ったので農場に通って働きたいと言う女達は雇って農場の整備に当たらせました。

当面の日当は前の管理人がため込んだお金をマキバルが隠し場所を知っているので其れを使う事にしました。

アクレのお母さんは一命はとりとめましたがお腹の赤ちゃんは死にました。
アクレが病室で片時も離れず付き添ってました。
クレアはアクレのお母さんに私も生きたのだから生きようと言うとクレアに何が起きたのかを聞いて知っていたアクレのお母さんが其れまで誰の顔もまともに見ないで虚ろな目で居たのをまじまじとクレアの顔を見てクレアの手を取って泣きました。
クレアが先に泣き出すと二人はお互いを慰め合うように抱き合って泣きました。「泣いて良いのよ。私達泣いて良いのよ。」とクレアは言いました。
反対にクレアが慰められて肩を抱かれてクレアは泣きじゃくりなりそうなのを「私がお見舞いにきたのに・・」と恥ずかしそうに言い訳をしました。

犯人達が捕まった事と旦那も捕まった事を言って沢山の村の女達や幼い女の子を犠牲になっていた事を言うと彼女は知っていると言いました。

それでも麻薬草の浄化が済んだ女達が農場で来年の農場の準備の為に働いていると言うと彼女はうんうんとうなずいてあの子達が生きていて良かったと言いました。
貴方にはアクレを育てないといけない仕事があると言うと心配そうに見ていたアクレを抱きしめて彼女は泣きだしました。
クレアがアクレを見捨てないでと私の様に一人にしないでと一人は本当に辛いからと言うとクレアの手を取って私が居るからとあの時は本当に村の女達が心配したのよと彼女は言いました。




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