Nicotto Town



南の魔女クレア36


クレアは其の手紙の入った引き出しを全部ひっくり返すとクレアあての手紙と封筒をもって3階の自分の部屋に入って読み始めました。

御父様からの手紙は全部で3通あって懐かしいお父様の字で返事をくれない事を心配する内容とお金を入れた事を書いてありました。
後はボルアートからの手紙で給料明細書と其の給料のお金が入っていたようです。
毎月来ていたようですがクレアには知らされませんでした。
しばらく考えてからクレアはゆっくりと椅子から立ち上がって1階に降りて行きました。
食堂には義母と義姉とダルシャが不安げな顔をして椅子に座っていました。
「お義母様、どういう事か話して頂けませんか。」と低い落ち着いた声でクレアが聞きました。義母は震えながら「仕方がなかったの、仕方がなかったの」と泣きながら言うだけでした。
義姉が説明をし始めました。此の家にはお金が無い事、国から税金の督促状が来ている事、其の内容は何時までに払わないと此の領土を国が没収すると言う物ばかりだと言う事。
此の家の収入源はどうなっているのかと聞くとボルアートの送ってくれるお金だけだと言うのです。
其れはクレアが見ても殆どが軍が国の代わりに徴収した税金の残りの僅かな金額でした。

村人からの税金はどうなっているのかと聞くと村人はお金に困っていて税金が払えないと義母が言うのです。義姉も頷きました。クレアが村人の生活を見たけどとてもお金に困っている人の生活では無いと言うと義母はそんなことは無い。
義兄が徴収に行った時もボルアートが徴収に行った時も払ってくれなかったと義母は言って其れ程貧しいのだからと言い張ります。

まず国の税金をいくら払わなければならないのかと言う事を知るために2階の国からの税金の請求書を見に行って色々な資料も全部クレア自身がチェックしました。
其れはとんでもない内容でした。お父様がなくなった6年前まではちゃんと税金を払っていました。
次の年に税金を払ってなくて其の次の年に前年度の税金を払いました。そして其の次の年の税金も前の年の税金を利子を付けて払っていて3年前から税金は払ってない為に利子がとんでもない事になっていて税金を払わないと此の領土を国が没収すると言う書いた督促状まで来ているのです。
其の3年前の利子だけでも払おうとしてお父様の手紙の中にお金が入っていたので其れに使ったと言うのです。

義姉によると其れをボルアートに見つかってお母様は酷く責められてクレアが知ったら怒って此の家を出て行くとボルアートが言うと義母がお父様の手紙を燃やそうとしたのを義姉が何とか止めたそうです。
更にその部屋には大きな壺が割れた破片が誰かが片付けたのかまとめて棚の上に置いてありました。此れはどうかしたのかとクレアが聞くと義姉がボルアートがお母様目掛けて投げつけたそうです。
クレアはため息をついて「なんてことを・・・で、お義母様はお怪我はなかったのですか?」と聞くと義母は自分の事を心配されてぎこちなく頷きました。
兎に角いったん下に降りて此れからの事を話し合いましょうの言葉に3人は下に降りてクレアが言う総ての金銭の資料になるものを持って来てテーブルの上に広げて一体いくら国に払わなければならにのかとかどこかの商人などからの借金が無いかをクレアはチェックしました。
良かった事にどこにも国の税金の滞納以外は借金はしてなかったようです。
クレアは東隣の領土が税金を滞納して10年前に国に没収されたことを言って此処も国に没収されると言うと義母は其の事を知っていてだからあなたのお金をお借りしたのとわざとらしい泣き方をしました。
「クレアは泣いても解決しないでしょ!」と冷たく言い放ちました。

義母はクレアの父親に税金を肩代わりしてもらえないかと言ってきました。
クレアはお父様に頼んで何とかなる金額を既に過ぎていると言いました。

月々の生活費と言うのなら金持ちの商人の娘や息子と結婚させて月々の生活の面倒を見て貰っている貴族はそこらへんに沢山いるけど此の金額は度を越してます。
此れは来年には此の広大な領土を没収される金額です。そんな大金をどこが出すのですか!其れを言った途端にお父様は私を引き取りに来るでしょうと言いました。
義姉がボルアートもそう言っていたと言うので過去にそう言う話が出ていたのでしょう。

まず結婚して直ぐに其の話をして欲しかったとそうすればお父様も更に其れ以外にも弁護士も会計士も相談する人はいくらでもいたのにとクレアは言いました。
更にクレアは何故村人が税金を払わなくなった時に裁判所に其れをうったえなかったのかと聞くと義母は裁判沙汰なんて此の家の恥ですと毅然として言いました。
「だから貴女に此の家の名誉な歴史を説明したのですよ。」と義母は例の額縁に入った何やら書いてあった紙の事を話し始めました。
クレアはイライラして「あのねぇ、昔の事を言うのなら領主は税金を払わない村人の家の娘を強引に連れてきて乱暴した挙句に奴隷として働かせたのですよ。裁判所と法律は其れをさせない為に村人の為に存在しているのです。」と言いました。
更に「村人と領主が両方が納得行く税金の徴収の仕方を裁判所が決めてくれるのです。裁判所もお金の払えない村人から税金を取る言う事はしません。どうすれば良いかという事は裁判所が調べて決めてくれるのですよ。」ただ裁判沙汰など出来ないと言う義母の言い分と泣くだけの義姉とうつむいているダルシャを残してクレアは部屋に戻りました。

とりあえずお父様に手紙を書く事にしました。
クレアは元気である事ボルアートが戦争に行った後此の家を切り盛りしなくてはならなくなった事、荷馬車も扱えるようになった事。食料の値段を交渉して使用人の分も含めて買うために値段の交渉が大変な事、狩りを覚えた事。更に獲物の分け前の交渉もしないと成らないなどと毎日が忙しい事だけを書きました。
使用人が一人とか膨大な税金の滞納の事は書きませんでした。

何度話し合っても義母は裁判沙汰は此の家の恥と言い張って其れは出来ないと言う一点張りです。
数日たってクレアはまた何か売れる物が無いかの家探し始めました。せっかく高く売れそうだった壺をボルアートが割ってしまうなんてとあいつは何て奴だと返す返すのあの壺が在ったらと思うクレアでした。

クレアの箒とぞうきんで埃をはらって汚れを拭きとりながらの家探しにダルシャも付き添いました。絵の無い額縁がいっぱいある部屋があります。絵はとっくに売ったそうです。
クレアは「此の額縁も高そうだわ。ダルシャ、額縁専門の店がどこかに無いかしら?」と言うとダルシャは思い当たる所が在ると言うのでまず額縁を売るために其れを売るものを置いて置く部屋に持って行きました。

次の日も其の次の日もクレアは家中のあちこちを探して花瓶だの置物だの年代物の時計だのを売る品を置く部屋に運びました。ある日金色の龍の置物様な物をロッカーの奥から見つけました。
誇りを取ってぞうきんで拭いて義母に此れは何かと聞くと純金かしらと義母が言うので純金なら私がこうやって持ち運びは重くてできないと言うとがっかりしてました。
そうしたある日一通の通知が来ました。其れはボルアートの戦死を知らせる通知でした。












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