Nicotto Town



南の魔女クレア29


面倒なので雪遊びをしない日も寝間着からボルアートのダブダブのセーターとボルアートのパンツをはいて夕食まで3階で過ごす日が続いた。
クレアは其れは其れで退屈がしませんでした。パチパチと暖炉のはじける音を聞きながらソファーに二人で寝そべってボルアートの子供の頃の話を聞くのが好きだったし士官学校時代の話を聞く事も楽しくクレアも自分の子供時代の話をしたりクレアの庭の話をしました。
クレアは特に裸足の足の裏でボルアートの少し伸びた髭や髪の毛をいじるのが気にいっていました。

雪遊びをしない日は其の姿でモップをもって剣の練習もしたりクレアが家から持ってきたふわふわのスリッパで石の床を滑って遊ぶのをボルアートは嬉しそうに見ていました。
クレアが余りにも床をスリッパで滑るのを喜ぶのでボルアートは石の床を毎日ピカピカに磨かなければならなかった。
ボルアートはクレアが喜ぶと思えば出来る事はどんな事でもしようとおもっていました。

クレアはベットに寝そべってぼーっつと天井を見て何か考え事をしているボルアートに余りにもクレアに好き勝手をさせていて怒らないので「ねぇ、私を子犬でも買っている様に思っているでしょう?」と聞いて見ました。「いいや」とボルアートはくるりとクレアの方に体を横にむけると言いました。「じゃあ、子猫でも飼っていると思っているでしょう。」と言うと「いいや、ねこじゃないなぁ。」と言いました。
やっぱり動物だと思っているんだとクレアは思いました。「じゃあ、何?」と聞くとボルアートは「ユキヒョウかな。」と言いました。「ユキヒョウ?ユキヒョウって何?」とクレアが言うと「ヒョウの仲間だよ。」というのでクレアは「ヒョウってなによ。」と言いました。ボルアートは体を起こすと「ヒョウを知らないのか?」と驚いたように言いました。「雨や雪や雹はしっているわよ、しっているわよ。雪の大きなやつでしょう。雪玉みたいなやつでしょう。本で読んで知っているわよ。」「違うよ、動物のヒョウだよ。」とボルアートが言うのでクレアはそんな動物はいないと言って怒りました。「じゃあ、動物の名前を言ってごらん」とボルアートが言うので子供の頃自分の絵本に「いろいろなどうぶつ」と言うのに載っていた動物の名前を言いました。「犬、猫、クマ、鹿、象、キリン、ライオン、虎・・・・それから・・・」後は見た事がある動物を思い出しながら「馬、ウシ、羊、豚、・・・うさぎ、凄いでしょう。こんなに言えるのよ」と自慢げに言いました。
ボルアートはがっかりして「それじゃ6歳並みの知識じゃないか、さんざん僕を花の知識が6歳並みと言っておいて自分は動物の知識は子供並みにしか知らないんだ」とクレアが自分の庭の話をした時にクレアが言う花の名前を知らないと言うのでクレアはボルアートの花の知識は6歳並みと言った事を逆手に取って言うのでクレアは怒って「じゃ、他に何があるのよ。」とクレアが言うので「ヒョウ、チーター、バッファロー、チンパンジー、ゴリラ、カバ」とボルアートはあっさりと言いました。
クレアは「何よ、其れ、聞いたことが無いわ。ボルアートは其れを見た事があるの?」言うと「実際に見た事は無いけど本で読んで誰でも知っているよ。」と言うので「其の本はどこにあるの?クレアも見たいわ。」と言うとボルアートは一瞬慌てて其れから少し悲しい顔をして「此処には無いよ。士官学校の図書室で見たんだ」と言うとこの話はおしまいと言うとまたごろんとベットに横たわると反対側を向くと黙ってしまいました。

ある日クレアがお昼ご飯と言って渡されたパンをかじりながら本をソファーに寝そべりながら本を読んでいるとボルアートがクレアが見慣れない本を読んでいるので何の本を読んでいるのかと聞いてきました。
クレアは自分が嫁入り道具の中に何れ必要になるからと入れて来た「妊娠と出産」の本を読んでいると言いました。
「義姉様もお腹が大きくなってきたし、私も何れ必要になるから読んでいるの。此の家に来る時に荷物の中に入れて来た本の内の一冊よ。
子育ての本も何冊か入れて来たのよ。赤ん坊が生まれてすぐは本を買いに行けないけど直ぐに知らないと成らない事があるといけないから」とクレアは言いました。
ボルアートはしばらくクレアを見ていて其れからそっとクレアを抱きしめると「兄貴の嫁さんと子供の事をむ・・・。」と言うと今度ははっとしたように少し離れるとまた戻ってきて「今の事は忘れてくれ!」と少し叫ぶように言いました。あまりの変化にクレアは驚きましたがボルアートが其の後ベットの横たわると布団をかぶってじっとしているのでクレアはベットのある部屋の石のまるい入り口の所に行くと優しく「私、大丈夫だからきっと上手くやれるから」と声を掛けました。
ボルアートは其れを聞きたくないとでもいいたげにますます布団をかぶって体を丸めて中で泣いている様にも思えてクレアは黙って其の様子をしばらく見てましたがやがてソファーに戻ってまたパンをかじりながら本を読み始めました。

男の人が突然どなったりイライラして周りの人に八つ当たりをする姿はお父様やピェールお兄様、ウィルお兄様で見てました。そう言う時はそっとしておくのが一番良いとマージからもモニリスからもお母様からも言われていました。
事情を知りたいと絡めば絡むほど頑なになる事は大人達のやり取りで知っていました。
こういう時は相手が話したくなるのを待ってから、或いは相手が時間が立って落ち着いてから静かに声をかけてみるというのを教えて貰ってました。

クレアはボルアートが自分から言ってくるまで待とうと思いました。
後で考えるともっと話しかけてボルアートが事情や自分の心情を言うまで追求すべきだったのかもしれないと思うのでした。
喧嘩しても怒鳴り合ってもどうあっても彼の事情を彼がおかれていた総ての事を知ろうとすべきだったのだとクレアは後で思いました。





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