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五飯田八宝菜の語学学習日記


1443番:レ・ミゼラブル(14の下)

14の下

————————————≪文法1≫———————————————

仏文科やフランス語学科の人以外の方は、おそらく接続法は
現在と過去しか習わないかと思います.しかしヴィクトル・
ユゴー(1802~1885)のような古い作家(200年
ほど前)の作品を読む場合、この接続法半過去と大過去は避
けて通れません.日本で言えば、旅行する姿が、三度笠の旅
がらすの時代ですから.文法の三度笠、名づけて「股旅文法」
を学びましょう.「股旅文法」って、よそで言わないでね!


接続法を要求する主節の動詞が、「現在」または「未来」のと
きには、従属節で現在・未来のことについては「接続法現在」
を使います.
過去のことについては「接続法過去」を使います.

ここまでは大丈夫ですよね.

では

主節の動詞が「過去」または「条件法」のときには、その従属節が
主節と同じ時、もしくはその未来をいう場合は「接続法半過去」が
使われます.
そして
従属節が主節に対してさらに過去の場合は「接続法大過去」
が使われます.

接続法半過去の作り方は、2人称単数形(tu )の直説法単純過去
から終わりのs をとったものに、次の語尾を加えて作ります.
————————————————————————
je  ~ sse      nous  ~ ssions
     ス       スィヨン
tu  ~ sses     vous  ~ ssiez
   ス              スィエ  
il  ~ ^t       ils   ~ ssent
          ス
————————————————————————

aimer (愛する) で活用させてみましょう.
aimer の単純過去(tu)はaimas でs を取れば aima
つまり、aima が接続法半過去の語幹です.
———————————————————————— 
j'aimasse    nous  aimassions
ジェマス         ヌー  ゼマスィヨン
tu aimasses    vous  aimassiez
テュ エマス         ヴー ゼマスィエ
il aimât     ils   aimassent
イレマ            イルゼマス
————————————————————————

avoir とêtre は 例外です.この2つは接続法大過去をつくる
重要な役目をもつ動詞でもあります.みてみましょう.

avoir 接続法半過去
————————————————————————
j'eusse      nous eussions
ジュス    ヌーズュスィヨン
tu eusses    vous eussiez
テュユス       ヴーズュスィエ
il eût   ils eussent
イリュ       イルズュス
————————————————————————
 
être 接続法半過去
————————————————————————
je fusse     nous ussions
ジュフス    ヌーフュスィヨン
tu fusses    vous fussiez
テュフュス      ヴーフュスィエ
il fût   ils fussent
イルフュ       イルフュス
————————————————————————

接続法半過去の使い方.

    接続法半過去は、主節が直説法の過去形(単純過去、半過去など)
または、条件法のときに、それがあらわす時と同時か未来のことを
従属節で表します.

 Je souhaitai qu'elle fût heureuse. / 私は彼女が幸せであるように願った.
 (単純過去) (接続法半過去)  ⦅従属節が主節に対し未来の事柄⦆

 Il fallait qu'il rentrât immédiatement. / 彼はすぐ帰らなければならなかった.
 (半過去) (接続法半過去)    ⦅従属節が主節と同時の事柄⦆
 

接続法大過去は、avoir かêtre の接続法半過去に過去分詞を
つけて作ります.
 avoir の接続法半過去 + 過去分詞+ 
  être  の接続法半過去 + 過去分詞

avoir を使うかêtreを使うかについては、複合過去のときと同じで、
aller など場所の移動を表す自動詞や、代名動詞のときがêtre
それ以外はたいてい avoirです. 


————————————≪文法2≫———————————————

Personne n'eût osé en parler,  personne n'eût
même osé s'en souvenir.*
敢えてそれを話そうとする人はひとりもなく、
誰一人として敢えてそれを思い出そうともしなかった
ことであろう.

現代仏文法では、接続法は基本的に従属節の中で使われたり、
未実現の関係節の中で使われたりするものですが、ユゴーの
ような古いフランス語では、このように主節や、独立で用い
られることがしばしばあります.その場合、当然事実ではな
い事柄の叙述になります.現代フランス語では慣用句で使わ
れる程度に使用頻度が減りました.訳すときには見えない主
節を想定して、「~と思う」とか「~だろう」と付け足せばい
いと思います.




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