Nicotto Town



南の魔女クレア15


ダルニは後ろに下がりながらなんとかクレアの剣を防いで居る。
遂に後ろがなくなったとダルニがチラッと後ろを見た一瞬隙にクレアの剣がダルニの剣を空高く飛ばした。
そして呆然と突っ立ってるダルニにこん棒を突きつけると「いい、此れから二人は剣の練習をもっと励みなさい。ウィルお兄様は貴方と同じように打ち込みはしなかったわ。更に盾も持たないで足を動かして後ろに引くのは一歩だけよ。其れも殆ど横で後ろに滅多に下がらないで私の打ち込む剣を防ぎきって自分が辞めたい時間が来ると私の剣を宙に飛ばして私から剣が離れた時は終わりの合図よ。男だったら其処まで出来るまでに剣の練習をしなさい。」と言った。
「此れから二人にはダンスの練習の前に剣の稽古を付けてやるわ。ありがたく思う事ね」と更に言った。
二人が呆然とたっていると明日は遅刻しないで来るように師匠を待たせる生徒なんていないわよ。いい、私が怖くて逃げるんじゃないわ」と言うと「今日は此処まで」と踵を返すと裏口に入って行った。
二人はしばらく何が起きたのか解らなかったがどうやら明日から剣の稽古が始まる事だけは解った。しかも相手が女性である事。
兎に角今日の所は帰るより他になさそうだと二人は夕焼けの中起きた事を頭で整理しながら無口で帰って行った。
ボルアートは普通にクレアと盾とこん棒で練習を始めた。
其の後にクレアのダンスの練習に入るのだが相変わらず剣を持った時の同じクレアとは思えない程其の動きは鈍かったと言うか殆ど進展はしなかった。
其の違いに二人ともどうなっているかを信じられなかった。
次の日から本当にクレアの剣の稽古がボルアートとダルニに始まった。
ダルニは一度言ったからには打ち込まないで防御だけでクレアの剣の応戦をしながら如何に後ろに下がらないで応戦をするかと言う事から始まった。
あっと言う間にパーティの日にちになった。クレアの洋服も出てきて自慢げにクレアはボルアートとダルニに見せたけど肝心のダンスは相変わらず口には出さないが頭の中で数を数えている様で足を見ないと動かせない状態だった。
此れではパーティに出れる水準ではない。
此処までクレアが何時までもダンスが出来ないとは二人とも想像もしてなかった。
二人の剣の腕はめきめきと上がり今はダルニは殆ど下がらずにクレアの剣を防ぎきっている。
更に剣が一番うまいの言う友人に相手の剣を飛ばすやり方を習った。
要するに3年生が初めて剣を持った1年生に教えるやり方で相手に打ち込ませて自分は防ぐだけにする。そうしないと初めて剣を持った一年生は剣を打ち込む事を覚えないからだ。
そして時間になると打ち込んで相手の剣を少し上に瞬時にあげると相手は更に下におろそうとすると今度は下に剣を下ろすと前につんのめって来るのを防ぐために剣を上にあげるか気を緩めた一瞬を逃さず下から上に剣を思い切り振り上げるとか反対に打ち込んできた剣を上から抑えて防ぐ、相手が今度は一瞬でも上にあげようとすると瞬時に今度は剣を下から上に振り上げるとお互いに上に剣を上げる力が合わさって剣は相手の腕からすり抜けて中まで飛んでいく。
要するに相手が剣を上にあげようとする状況を一瞬でも作って其の一瞬を逃さず下から上に剣を振り上げれば良いと言うだけで其の内に1年は剣を打ち込む事を直ぐに覚えると次の段階の今度は防御をする事を教えるんだと言われた。
其れまで多くの3年生は初めて剣を持った一年生を良い様に打ち負かせてふんぞり返っていて剣を教えてあげようとしてなかった部類に自分達が居た事を二人は反省した。
それから二人の剣の猛恵子が始まったのもあり二人の剣の腕はどんどん上がった。
そんなある日クレアがモニークが言っていた言葉を二人に伝えた。
どう考えても其の主催者の男の子は利用されているだけじゃないのか?要するに他の彼が連れて来る爵位を持った学生が目当てで本人は眼中にないという事でそんな女の為に多額のパーティ会場費用と食事の費用出さされるって何て気の毒な男と言っていた事を言った。
ボルアートとダルニも確かにそうだと納得して其の主催者の青年に其れを話した。
更にモニークの話だと多分其の女の子は自分より見劣りのするブサイクな女の子しか連れて来ないと言った事も言った。
それならこっちも彼よりも見劣りするような学生を集めた。
其れをモニークに言うとそうするとボルアートとダルニがオオカミの群れに花足られた子羊二匹並みに狙われるけどモニークとクレアが二人を守ると言う事で話が付いた。
其処までは準備はとんとん拍子に進んだがクレアのダンスは殆ど最初の下を向いて頭の中で数を数える段階で頭をあげさせると足がリズムに合わせて動かせなかった。
明日がパーティの日だしどうしたものかと3人で話し合ってダウ二が松葉杖を用意してくれてクレアが足をねんざしたと言う事にした。
クレアの最初のダンスパーティはそうして始まった。
軽い捻挫だけど万が一を考えて用意したと言う設定の松葉杖を持ってクレアはパーティ会場に乗り込んだ。
其の前にモニークの度肝を抜くような華やかなドレスに自分が一番と思っていたクレアは落ち込んだが其の他の女の子達も此処が勝負時と言う気合の張ったドレスと髪飾りと化粧で臨んできていた。
案の上、女の子たちはどの子も呆れるほどブサイクで確かに其の女の子は顔では目立っていた。
してやったりとした態度でしばらくするとクレアの座っている隣にクレアに寄り添うように座っているボルアートに踊ろうと誘って来た。
ボルアートが断っても腕をつかんで離さない。
毅然とボルアートは断っても「どうせこの子は足が悪くて踊れないのでしょ!ねぇ、せっかく来たのだから踊りましょうよ」と顔をくっつけて来た。
ボルアートは其の積極的な態度にどうしたら良いかとまごついている。
其の様子をモニークがみてやって来た。
「どうしたの?」「僕が断っても此の子がしつこくて・・・。」とボルアートは言った。
「だってどうせこの子は足が悪くて踊れないよ、ねぇ、こんな子と此処にいないで踊りましょうよ」と其の子もしっかりとボルアートの腕をつかんで離さない。
「いや、僕が此の子の足にけがをさせたので僕は此処を離れるわけに行かないから」とボルアートは其の此の絡みついた腕を引き離した。
モニークは改めて「そう言えばクレアどうして松葉杖を持ってるの?」と不思議そうに聞いた。モニークは一緒の馬車で来たのだがすっかり気分は浮かれてクレアが松葉杖を持っている事に今まで気が付かなかったのだ。
「いや、此の子が剣に自信があると言うのを真に受けてちょっと本気で打ち込んだら足をねんざさせちゃって」とボルアートは言った。
モニークが「爵位お嬢様のよくある話ね。自分の貞操は守れるようにと剣をてほどきとやらの家庭教師をつけて貰って、使用人相手に練習をするけど其の使用人が全部負けてくれるもんだから剣が得意と勘違いをする子がいるのよ」と言った。
良家の子女は貞操を守るために剣の家庭教師が付くなんて知らなかったとクレアは目を丸くした。
ダルニがすかさず「そんな処だと思うけど彼が女性にけがをさせて責任を感じているんだから」と其の女にもボルアートから離れる様に言った。
しぶしぶ其の女はボルアートから離れたが腕だけでなく胸まで擦り付けられてボルアートは明らかに動揺しているのがクレアに解った。




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