1420番:トニオ・クレーガー(15)
- カテゴリ:日記
- 2021/11/07 21:20:46
トニオ・クレーガー(15)
———————————【15】————————————————
» Ich hatte es nämlich nicht vergessen, Tonio «, sagte Hans
und blickte vor sich nieder auf das Trottoir, » sondern ich dachte
nur, daß heute doch wohl nichts daraus werden könnte, weil es
ja so naß und windig ist. Aber mir macht das gar nichts, und
ich finde es famos, daß du trotzdem auf mich gewartet hast.
Ich glaubte schon, du seist nach Hause gegangen, und ärgerte
mich...«
Alles in Tonio geriet in eine hüpfende und jubelnde
Bewegung bei diesen Worten.
———————————(試訳)—————————————————
「つまりさ、忘れていたわけじゃないんだよ、トニオ」、ハンスが
言いました.そして自分の下の歩道に目をやって、「きょうはさ、雨
模様だし風も強いから散歩は出来なくなるだろうって思って.でもそ
れだけを考えていたんじゃないんだ.そうじゃなくて、ぼくは君がもう
ぼくを待ってくれているなんて全然思ってなかったんだ.でも待ってい
てくれたことに気づいて、素晴らしいと思ったんだ.ぼくはもう君が家
に帰ってしまったと思って腹を立てていたんだ.」
これらの言葉にトニオの心の中では何から何まであらゆるものが飛び
跳ね、歓声を上げる感動となった.
———————————〘語彙〙—————————————————
使った辞書名:「アクセス独和・和独」「クラ独」「木村・相良」
nämlich (副) [より詳しくいうときの言い換えの切り出しで用いる]
❶すなわち、つまり、
Ich komme später, nämlich nach dem Abendessen.
あとで、つまり夕食後に伺います.
[文頭以外の位置に置かれる(理由を述べる)]
❷というのは
Ich komme später, ich habe nämlich noch etwas zu erledigen.
あとで伺います、というのもこれからまだすることがありますので.
[付加語形容詞として定冠詞とともに使う用法もある]
❸同じ、同一の
Sie trägt wieder das nämliche Kleid. / 彼女はまた同じドレスを着ている.
das Trottoir (eタイプ) 歩道
[フランス語からの外来語.シャンソンのMarie-Trottoirは
おそらくマリーのあだ名で、歩道のマリー]
blickte (過去3単) <blicken (自) 目を向ける、見る、見やる
auf die Uhr blicken / 時計を見る
in die Zeitung blicken / 新聞をのぞく
zum Himmel blicken / 空に目をやる
Mutter, Mutter, wenn ich zum Himmel blicke, da ist Sie.
おふくろさんよ、おふくろさん、空を見上げりゃ空にある.
これは私の怪しい独作文なので批判的に見てください.
nieder ここでは副詞、「下へ」
das auf und nieder des Lebens / 人生の浮き沈み
辞書の用例ですが、私が思うに「無常」ですね.
「無常」を逆引きしたら Vergänglichkeit.
まさに諸行無常の「行」(なりゆく、変ってしまう)
がvergäng に込められているような気がします.
では、「変らない」という表現はどうしましょうか?
bleiben が思い浮かびます.
Sie bleibt dieselbe./ 彼女は昔と変らない.
naß (新綴りnass)(形)❶濡れた、湿った、❷雨の多い
windig (形) ❶風の強い、風通しのよい;
eine windige Stelle / 風がよく当たる場所
Heute ist es windig. / きょうは風が強い.
❷(話) 信頼できない、いいかげんな、あてにならない
eine windige Mensch / あてにならない人間
famos [ファモース](形)(話) すばらしい、すてきな
trotzdem (副) それにもかかわらず
geriet [ゲリート] (過去3単) <geraten (自/s)偶然~に至る
[in + Akk][予期しない状態に] 陥る、なる
[状態に] なる、
Das ist mir nach Wunsch geraten. / それは私の希望通りになった.
hüpfende (現在分詞) <hüpfen (自/s) ぴょんぴょん跳ねる
jubelnde (現在分詞) <jubeln (自/h) 歓声を上げる、歓呼する
die Bewegung (enタイプ)❶ 動き、動作、身振り、運動
❷感動、興奮、動揺
Worten.(複数D) <das Wort
das Wort が「単語」という意味の時の複数形はdie Wörter (変erタイプ)
das Wort が「言葉」という意味の時の複数形はdie Worte (Worten は複Dat.)
mich ärgerte (ぼくは腹を立てた、1単過去)<sich ärgern 腹を建てる