Nicotto Town



34、35冊目読了。

「蔵」(上)、(下)   宮尾   登美子 著


酒どころ新潟で相撲と同様、女人禁制と言われる酒造りに挑戦した女性の話であった。主人公烈(れつ)は豪農の田乃内家に生まれ育ち、徐々に見えなくなる目の病気を患い14歳の年には完全に盲目になってしまう。障害を背負って生まれたため、家族からは溺愛され、さもわがままに育ったかと思われた。体を悪くした父親の蔵を売却するという言葉を聞いて、これでは家もつぶれてしまう。私が後を継がなければと思い悩み決意する。

酒の神様は、女性の神様だそうでなのになぜ、蔵に入ることが許されないのかおかしい。きっと許して下さると神社にお参りし、父親に酒造りだけでなく、今まで勉強しなかった分を教わる。決心後2年、許されて蔵を再開する。蔵人の若い涼太と結婚し、後継ぎもでき涼太の戦死後、強い意志で田乃内家を盛り立てていた。しかし、目が見えたなら気づくであろう病気にかかり、父より早く40代半ばでなくなってしまった。短く燃え尽きた命ではあったが、息子が遺志を継いで順調に継いでくれたことを嬉しく思っているだろう。

ここでは旧家の家長たる父親の苦悩も細かく描写されている。古いしきたりを受け継ぎ、家を盛り立てていかねばならない使命。跡取りのなかなかできない苦悩、雪深い新潟の生活ぶりから、強い意志=頑固さなど推察でき、興味を持って読めた。

映画やTVドラマ化され、多彩な役者さんに演じられたそうだが、残念ながら見ることがなかった自分が悔しい。リバイバルされないかと切に思う。




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