Nicotto Town


満月 鯨の日記


続くじらさん8/23

その少女は終末の世界で

自分の体と同じ大きさの鐘を
重そうに持っていた。
興味を持った自分は暇があれば
路銀と愚痴を投げてやった。
酒を飲みながら投げた毒愚痴に
「この鐘は平和の鐘なんです
 平和を真に望む人が降ると鳴り
 世界を平和にできるんです!」と
少女は笑って掲げたんだ
錆びて鳴る筈の無い鐘を。
でも、確かに
少女が鐘を振ると綺麗な音が出て
自分が振るとガラガラと不細工に鳴って
二人で爆笑した。久しぶりに笑った。
次に会った時には少女は何かの代償で死んでいた
笑っていたらしい。自己志願したらしい。・・・。
結局後から見せられる、そんな「シナリオ」だった。
でも、きっと、いや、確かに
「平和を具現できると信じられる唯一の少女は
 自分が殺した」「自分が殺したんだ」。





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