り
- カテゴリ:小説/詩
- 2021/07/13 02:54:04
仇も羨む夜露の刻に
空を赤々と染める大輪の華
いつぞやの心細いを
一瞬で奪っう太々しさよ
其れは香しい匂いも放ちもせず
只 誰もが心を奪われ、立ち止まる
空に輝く 一筋の雅は
今も昔も変わらずに
唯 唯
寂しい褥にゆるゆる、と
只 只
独り眺めるにはみずぼらしい
誰もが寄り添い
誰もが歓喜をあげ
誰もが其の艶やかさに見惚れ
刻も酣
著しいも おひさに
伽の言の葉認めれば
ゆるゆる、と 適わぬから故の
心憎き一入に 途方に暮れて
迷の道へと
入ったつもりが
其の眩しさに
いつの間にか
其処に立っていた
赤赤と染めれ
艶やかに弛まなく
心に止まった
蜻蛉
あたい、だけじゃないんだよって
憎いね、ぼやくんだからさ