仮想劇場『それでもまた陽は昇りやがる』
- カテゴリ:自作小説
- 2021/06/25 11:43:28
相も変わらず似たような日々をローテーションしている。
朝はバス停で今日の瞬きの場所を知り、
誰と話すでもなく教会前の椅子に一人腰掛け、
流れる会話に疲れたら教会のベンチで独り事を呟いている。
そこで物思いにふけるでもなく日常に集中するでもなく。
実生活の隙間を埋めているような感覚。
そして町の喧騒から逃れるように青空のカフェへ。
下世話な言い方をすれば自分の居場所を探している。
上手くは言えないが他人との距離の保ち方がすこぶる下手だ。
そんな愚痴を歌にして他人事のように口笛を吹き、
そして今日も1日が淡々と過ぎていく。
僕のこの感情が『憂い』と言うのなら、
おそらくはこの町の大半の人が
似たり寄ったりの憂いを抱いて生きていると思う。
つまりはありきたりで平凡な日常。
ここはどこまでも平和で最高のステージだ。