仮想劇場『口約束』
- カテゴリ:自作小説
- 2021/06/08 13:37:08
証文なんてそもそもいらないの
信頼関係がどうとかって話でもない
自分が覚えていたから約束を反故にしないだけで
記憶から完全にロストした事はそもそも無かった事と同じなの
逆に覚えているのにしらばっくれるのは上手じゃない
適えられない事なら素直に詫びたほうがずっと気が楽だし
僕はいつだって適えられる事だけを努力していくひと
出来ないことはどうやったって結局はできないんだし
そもそも出来ない約束を安請け合いするほど間抜けでもないし
数年越しに果された互いの約束事は
明日への一筋の光明になり得るだろうか
あの時、あの場面で思い描いた未来図より
現実ははるかに残忍で無表情のまま今を迎えた
それでもこの顔のまま壁を突き破っていくしかない
それは今も昔も何一つ変わらず此処にある僕の宿命なのだ