Nicotto Town



仮想劇場『そもそも仮想生活の良いとこってなに?』


現実問題として実生活に不満を持ったことがない
決して裕福ではないし優遇されてもいない
総じて人並み以下の部類だと思うが不服はない

思えば学生時代からそうだった
何をするにも並以下
飛びぬけた能力は一つもなかったが
それを悲観したことなど一度もない
社会の底辺でも生きていられるだけで上等だと思っていた


そんな取り柄のない俺だが
強いて目立つといえばこの顔
他人の癇に障るというこの目元だ

顔を変えたいと真剣に悩んだことはある
マジメに頑張っても結局は正当な評価が得られないことが多かった
なぜかと尋ねると「お前の顔だ」と言われる
「他人を馬鹿にしてるだろ?」と繋げられる
持ち前の素顔はあまりにも俺に非協力的だった

悔しさを糧に暴力的に前進してきたつもりだ
欲しいものは他人の3倍努力してでも勝ち得たかった
必死になる俺のこの姿をせせら笑う者も少なくはなかった
全部見て見ぬふりで愚直を貫いた

見返したかったわけじゃない
ちゃんと見てほしかったのだ


仮想空間に身を置いて何よりも心地よい事がある
この顔の上に当たり前の素顔を仮面としてつけることができる
不当に煙たがられることも職務質問されることもない
一切の容姿を患わずに存在することができる

他人との会話がどうとか寂しさがどうとか
繋がりがどうとか友情がどうとか
仮想空間におけるメリットはそんな部分にはない
なによりもこの持ち前の素顔を見られない事がありがたいのだ





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2023/02/19 22:08
いいや、先に居た人らが先に一言いうべきだ



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