【第14話・最終回】天使坂のソロキャン
- カテゴリ:自作小説
- 2021/05/22 21:48:52
天使坂キャンプ場。
とっぷりと陽が落ち、周囲を薄暮が、薄墨を流したように包んでいて。
駐車場にポンコツを停め、ドアをけ破る様に開けて、俺はテントサイトに一直線に駆けていったんだ。
あちこちで、夕食の宴を準備する焚き火の灯りがともっていてさ。楽しそうな話声がしててさ。
でも俺は、そんなことに頓着してる余裕もなくてね。
今考えれば、もっとやり方あったんだろうけどさ…
ただっぴろいテントサイトの真ん中あたりまで走ってくると、こみ上げてくる動悸と荒い呼吸、そして周囲の目なんて全く考えずに
「かんだ~~~っ!
さおり~~~~っ!」
デカい声で叫んでは、膝から崩れ落ちちゃったんだよ…
周囲の楽し気な夕餉の話し声が一気に…ぴたり、と止まったんで、俺はやっと我に返ってね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ほんとにもぉ…びっくりしたよ」
神田さんはちょっと頬を膨らませては焚き火台の炭を火ばさみでひっくり返す。
「あ、すみません…神田さんがどこにいるか分からなかったんで…つい」
「スマホで呼んでくれたらいいじゃん?ばっかだなもぉ… 恥ずかしいでしょ」
神田さんの顔が、半分だけ炭火の灯りで照らされている。赤くなってるように見えるのはきっと火の照り返しなんだろうな。
「ほんとすみませんでした…」
俺は思わず、ぺこりと頭を下げた。
「でも銀河高原から200キロも、私がキャンプしてる天使坂まで走ってきたんだね…」
「はい…」
そのあと、ちょっとした沈黙が来た。
俺は何か話そうとするんだけど、うまく口が動かない。
神田さんも、同じように何も言葉を発しない。
その時だった。
「あ…」
「あ…」
キャンプ場の空に、一すじの打ち上げ花火が上がったのさ。(ここは花火OKなんだ、今時珍しいんだけど)
虚空を色とりどりの光の粒がはじけて飛ぶ。
妖精が乱舞するように、気ままに舞い落ちていく。
「天塚クン…?」
「神田さん…?」
いかん言葉が被った。
いつもこうなんだよね、肝心な時に、俺って言葉を紡ぐタイミングが悪いんだ。
でもそれで一気に緊張が解けちゃって、それはそれで結果的には良かったかなって。
神田さんはくすり、と小さく微笑んで
「なぁに?」
「あ、あの写真の子のことなんだけど…」
一瞬神田さんの表情が固まる。そして笑顔が消えて、ちょっと寂し気な目線を伏せていくのが分かる。俺は慌てた。
「…妹なんですよ…」
「え?妹さん…?」
「はい。2年前に交通事故で亡くなったんですけど… 仲が良い兄妹だったもんで、今でも思い出してしまうことが多くて…」
神田さんはしゃがんで、炭火をただわけもなく火ばさみで転がしてて。
「そうなんだ。仲良かったんだね… ごめん、なんかさ…」
「はい?」
「妹さんだったんだ…そうだったんだ…うん なんでもないよ。ごめんね」
俺は、なんだか普段より小さく見える神田さんの隣に、彼女と同じようにしゃがんでみた。
ほんのささいなことだよ。
ちょっとした出来事が、今までのすべてをひっくり返してしまうんだって。
まさか俺がこんなに…って気が付いたんだ。
「神田さん…?」
俺は彼女の顔を、下からそっと覗きこむ。
「はい…」
「えっと… 俺…」
「はい…?」
俺は一生忘れられないだろうな。
忘れられたら大したものさ。だって…
「少年っ! こんなとこで会うとは奇遇だなっ!!」
「天塚クンっ!なにしてんの?!」
俺と神田さんはびっくりして尻もちついちゃった。クマさんとしずかさんだろ?どうせ…てね。
でもさ、ねぇ 君たち…いつの間に?しかもなんで内緒で、2人でキャンプに来てるの?
(終わり
分かった? あはは ならよかったですw
よーーくわかったなのですヾ(⑉• •⑉)ノ”
そゆ女子が好きってことは、けーたんもそゆ要素持ってるんだね☽*˖
わたしも好きだヨ♡♡
コメありがとです!
えっとねぇ… なんで天塚クンが神田さんに惹かれたのかっていうとだね…
12話を読み返してみてください^^
妹…ネタバレしてましたか(笑)
てか少年は、なんで神田さんを好きになったの?
コメありがとです!
そうなんですよねー なかなかこの尺(って言うんだろうか)では全員のキャラ説明と伏線の回収が難しいんですよね…
でも確かに神田さんもしずかさんもキャラ立てがやや弱いかなと自分でも思いました^^;
もっといい作品書けるようにがんばりますので、これからもいろいろアドバイスをお願いしますね!
次回作構想が固まるまで、過去作品の再アップしますのでそれも感想をいただければ幸いです^^
クマさんはすごくキャラが立っているけど、女性2人はもうすこし濃いめでもいいかな。その方が、なんで天塚か神田を放っておけないほど気になったのか、とか。クマさんがしずかさんを「諦める」とまで言うのかとか、女子たちの魅力が前面に出てくるような気がするよ。クマさんがしずかさんに惚れた瞬間がわからない。天塚×神田カップルもそうで、私のような女性読者は、そこをもっと読みたいかも。次の作品も楽しみにしているよ~ん。
コメありがとです!
勢いで1年ぶりに小説っぽいものを書いてみましたが、ちょっとでも楽しんでもらえたのなら嬉しいです(≧▽≦)
またお付き合いくださいね!
誰か会いに来てくれないかしら~?w
そのうえ、キャンプサイトの中心で名前を叫ばれて。
それだけで天塚君の気持ちは十分わかるよね。
クマさんもしずかさんとすっかり仲良しみたいだし。
なんだか久しぶりに甘酸っぱい気分を味わえました。
楽しかったです。ありがとう~!^^
コメありがとです!
過去の作品は、ちょっとリニュアルして再掲の予定です。
(当時のミスタイプとかけっこー残ってるのでw)
今しばらくお待ちを
おめでとうございます♪
また新作楽しみに待ってますね。
それまで過去の話よもうっと!