Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


2021年 謹賀新年 初日の出



新年明けましておめでとうございます。
 もう何年になるだろうか。十二年ぐらいだろうか。その前からかもしれない。ベランダで初日の出を拝んでいる。うちのベランダは、南にむいているので、東から西まで見渡せる。マンションの三階なので、ほんの少しだけ、周りよりも高いので、初日の出を拝めるのだった。
 東京都心部の日の出は六時五〇分頃。目覚ましを六時二〇分に合わせた。日の出よりもだいぶ前から空は明るくなるから、日の出前の新年の空を見たかったのだ。六時三〇分にベランダへ。
 空はかなり明るくなっている。もう少し前から外に出てもよかったなと思う。今年は晴天、雲がほとんどない。数年ぶりではなかったかしら。西の方には富士山も見える。そして高い南西の空に満月を過ぎた、十六夜だったか立待月のお月様が明るい空に残っていた。ほぼまん丸に見える。初日の出、初月、初富士山を見ることができるなんて。さらに空は晴れ。
 月に関しては去年の晦日ぐらいに、今年最後の満月だなあと、早朝というか深夜の空に、それを見上げて感慨深く思っていたので、年が明けてから、明るい空にまた眺めることができたのが、当たり前のことなのだが、新鮮な驚き、うれしさがあった。見送ったはずの月が、まだいてくれた。こちらの気分の違いといってしまえばそれまでなのだが。12月31日の朝に見る月と1月1日の朝に見る月は、もはやわたしのなかでは、別物なのだ。
 そして初日の出。いつも高いところから、というわけでないので、日の出の時刻よりも五分ほど遅れて太陽を見ることができる。
 六時四五分。東の空がいよいよ明るくなってきた。そして一点、特に明るいところが。ああ、ここから太陽が昇るのだ。それがようやくわかるほどの明るさだった。毎年初日の出を拝んでいるのに、正確な場所をいつも忘れてしまう。昇ったらわかるから。
 待っている間、東の空に飛行機が二機飛んでいるのが見えた。鴨と鳥の群れも。飛行機は鳥たちに比べて小さい。鳥たちよりもゆっくりだ。その姿を見て今更気づいた。ああ、あの方角は、羽田空港のほうなのだと。
 もう何年も羽田空港にいったことがない。飛行機に乗らないし、見送ることもないから。だが、子どもの頃の記憶なのだろう。どこか羽田空港ということばに郷愁を感じる。空を飛ぶ、飛行機たちの集う場所。
 小さなジャンボ機たちが東から南の空へ渡ってゆく。
 六時五〇分。日の出の時刻だが、ベランダからはまだその姿は見えない。周辺がいよいよ明るくなってきた。
 実はベランダからよりも、北に向いた通路側から東の空を眺めたほうが景色的には、幾分、いい感じなのだが、日の出の瞬間だけは、ベランダから拝みたいといつも思ってしまう。それは、うちのマンションからではなく、あくまでうちから、初日の出を拝みたいということなのだろう。
 六時五五分頃から、東の地平線から太陽が顔を出した。写真に撮る、何枚も。今年は空が晴れすぎていて、太陽が明るすぎて、レンズフレア、あるいはレンズゴーストというのだろうか、光の漏れがおびただしく、思ったほど、いい写真が撮れなかった。明るすぎて、だったら、それはそれでいいのだと思う。そんな晴天の初日の出を拝めたのだから。

 昨年末まで、昨日まで、かなりバイトでバタバタしていた。それが十二月末と一月一日、いつもたった一日で、世界が変わるのに、心地よい違和があった。そういえば、疲れていたのだろう、大晦日は除夜の鐘を聴くことなく、ぐっすり眠ってしまったのだが、朝の七時をに、近所のお寺の鐘の音を聴いた。これを除夜の鐘だと勝手に思うことにした。鐘の音が朝の澄み切った空気のなかを渡ってゆく。もう月は沈む頃だろうか。太陽はだいぶ高くなっただろう。

 読んでくださって、ありがとうございます。今年がよい年でありますように。




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