719番:「星の王子様」(3回目)
- カテゴリ:日記
- 2020/11/20 15:41:57
サンケイの記事(2004年3月25日付)の続きです。
▶◀ 「ビアンゴ船長、これは...」
石は貝や海藻が絡み合い、石灰化した塊だった。(つづく)
硬くて、鎖を取り出すため金づちで割った。
中から出てきたのは、長さ14~15センチの小ぶりの腕輪。
海水のため、真っ黒だ。銀製らしい。
鎖にピレート状の板の部分があった。こすると、文字が現れた。
「まさか!」
船長は目を疑って、なおも丁寧にこすった。
「ANTOINE DE SAINT-EXUPERY」(アントワーヌ・ド・サンテグ
ジュペリ)。はっきり読めた。フランスの作家——というより、
世界的に有名で行方不明の作家だ。
この日以来、マルセイユの実直な漁師、ジャン・クロード・ビ
アンコ船長(59)の人生は狂った。6年前、しけのカランク沖
を一周半ほど底引きした1998年9月7日のことだった。
プレートに刻まれていたのは、正確にはこうだ。
「アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ(コンスエロ)レイナー
ル&ヒッチコック社気付 アメリカ合衆国ニューヨーク市4番街
386」
サンテグジュペリは『星の王子様』などの作品で知られる操縦士
兼作家▲コンスエロは、その妻の名前。▲レイナール&ヒッチコッ
ク社は『星の王子様』の初板本を出したニューヨークの出版社。▲
住所はその出版社—のもの。
宝物を拾ったビアンコ船長はしばらく放心状態で、毎日、銀の鎖を
眺めていたが、20日後、腕輪をマルセイユの海底探査会社
「COMEX」のアンリ・ゲルマン・ドルーズ社長に託した。(つづく)
ヾ(@^▽^@)ノ
フランス語の学習時間です。
【3】
Pour dire tout cela, Saint-Exupéry use de la langue la
plus claire, du ton le plus naturel. Et cepenant sa
phrase, grâce à la densité ou à l'agencement musical
des mots, a souvent une résonance infinie.
これらすべてのことを言うために、サンテグジュペリ
は、もっとも平明な言葉、もっとも自然な語調を使っ
ている。 しかし彼の文章は、密度の濃い言葉のおか
げで、あるいは、また言葉の音楽的な配列のおかげで、
しばしばしば無限の余韻を持っている。
《語句》
densité (f) 濃密、密度
agencement (m) 配置、配列
infini (e)[アンフィニ] (形)無限の
résonance (f) 響き、余韻、反響