Nicotto Town


五飯田八宝菜の語学学習日記


628番: アルルの女(15)

         【28】
   Le  lendemain,  à  l'aube,  la  mère  entendit  quelqu'un
traverser  sa  chambre  en  courant.   Elle  eut  comme  un
pressentiment :
   
———Jan, c'est toi ?

Jan ne répond pas ;  il est * déjà dans l'escalier.
Vite,  vite  la  mère  se  lève :   

———Jan, où vas-tu ?


                      訳
次の日の夜明け、母親は誰かが走りながら、部屋を通り抜ける
のが聞こえた。母親は虫の知らせのようなものを感じました。

———ジャン、お前なのかい?

ジャンは答えませんでした; すでに階段のところにいました。
急がなきゃ、急がなきゃと、母親は跳び起きた。

———お前、どこへ行く気なの?


         《語句》       
pressentiment (m) 予感、虫の知らせ
プレサンティモン
entendit 聞いた(単純過去 <entendre 聞く、聞こえる

                     ≪文法≫
 il est * déjà dans l'escalier. 過去の話をしているのですが、現在形
になっています。 se  lèveここの現在形も。印刷ミスではありません。
物語文は基本的に「過去形」ばかりなので、
それを繰り返してばかりでは、だんだん、面白くなくなるのです。

そこで、「読み手の眠気覚まし」の薬として、現在形をパッと入れます。
過去の話だからと言って、読者を安心させてはいけない。
現在形を使って、臨場感を作り、眠気を吹き飛ばしてもらいます。

これをprésent narratif (物語的現在)と言います。
過去でも現在形。天地がひっくり返る手法。空に草木が生え、地面に
お星さま、みたいな。そういう手法です。

飽きっぽい私たちのために、作者は苦労するのでございます。




月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.