Nicotto Town



前回読書日記の訂正(執事考)

前回の読書日記『ジーヴズの事件簿』でミコさんより『執事と従僕はほぼ同格』と指摘があり、調べてみたところ、てっきりfootmanだと思っていたジーヴズがvaletだと気が付きました。出版社が違うと執事になっていたり、要するに翻訳者でもイギリスの使用人の区別がよくわかっていないのではないかと思われます。貴族社会の没落によって兼任や臨時も多くなり区別しにくくなるようですが、

『図解 英国執事 貴族をささえる執事の素顔』によれば次の通り

スチュワード(Steward);家宰、家令

執事と訳されることもあるが、主人の手紙の代筆も出来、財務・人事で大きな権限を持っていた。20世紀には一部の大貴族の屋敷、王室にのみ名前が残る。

バトラー(butler);執事 

もともと酒類、食卓の給仕や銀器の管理をする使用人。家宰のいない家では人事経理業務も行い、部下の従僕(footman)や他の使用人を監督する。小規模な屋敷や長期の家族旅行への同行では従者(valet)兼任。

ヴァレット(valet):従者 ←ジーヴズはこれです。

小さな屋敷では執事兼任でいろいろな仕事をまかされるが、基本は一人の主人を徹底的に世話する。旅行や遊興にももちろん同行、服装も執事は黒が基本なのに対し従者は主人に恥をかかせず目立ちすぎない程度に「スマートな服装」が良いと記録されている。高い能力は求められるが良い主人に仕えるとかなりお得な仕事。執事にまで出世したのに中間管理職的な悩みから従者に転職した者もいる。

フットマン(footman;従僕 

執事の部下で男性使用人の正式なスタートはここから。(その前はボーイと呼ばれる見習い)制服あり。複数いる場合は第一従僕から臨時で従者を担当させられることもある。上級職で客室や応接室の美観を整える『グルーム・オブ・チェンバーズ』という役職あり。

いずれも容姿が良く、背が高いことが就職を有利する条件、ということはイギリスの男性使用人の大半は高身長だった?

 

イメージに合致するのは20世紀初頭の貴族の屋敷を舞台にしたイギリスのドラマ『ダウントン・アビー』ですね。私もとびとびに見てうろ覚えで、長いシリーズなのでぜひ見てとは言えませんが、主人付きの元従者のベイツは足に障害を負って従者を続けられなくなっても従僕として再雇用され何かと目を掛けられています。男性使用人の見本がトーマス、同性愛者らしく周囲に打ち解けず距離を置き傲慢でひねくれている。シリーズ1では確かにfootmanです。一時従者を任されるも、性格の悪さから主人とは相いれず、しかし紆余曲折はあるものの屋敷に愛着を感じ、副執事まで昇進、一度リストラに遭うものの最終回で引退する執事カーソンの後任に決定。。あー、あの性格なら従者より執事だわ、と今更納得です。

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2020/10/04 22:54
『図解 英国執事 貴族をささえる執事の素顔』
~あ、この本、ダウントンダービーが流行っていたとき、私も購入して読んでおりました。

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