キャトルミューティレーション
- カテゴリ:自作小説
- 2020/09/27 23:05:11
目が覚めると、見知らぬ場所
身の丈が高く大きな、白っぽい風体の何かが蠢いている
初めて聞く音がいっそう不安をあおるそこは、
何もかもが未知の空間だった
ああ、そういえば…
と、ある場所で突然意識を失ったことを思い出す
白っぽい何かでも、影は真っ黒いんだな
そんなことをぼんやり考えていると、
突然、体に針が刺される
痛い!
そう叫んでも、彼らの様子は変わらない
周りを見渡すと、
大勢の仲間たちも同じように針を刺されている
針から伸びた管の先には透明な器があり
そこには大量の血液が溜まっている
気が遠くなった
次に目が覚めると、
そこは元の場所…
と、よく似た別の場所だった
水すら元の場所とは何かが違い、食事をする気も起らない
顔見知りもなく、体は重く倦怠感が抜けない
一体、どれだけの血液が抜かれたのだろうか
血液が抜かれた「だけ」だったのだろうか
今日はいったい何日なのだろう
無気力な私は、ただただ、海の底に沈んでいくのだった
※カブトガニの血液は、医療に役立つとか
どっかの海岸で捕獲され血液を抜かれた後、
元の海岸に戻されたカブトガニって、こんな心境?