Nicotto Town


マクロとミクロはリンクする


キャトルミューティレーション

 
目が覚めると、見知らぬ場所

身の丈が高く大きな、白っぽい風体の何かが蠢いている
初めて聞く音がいっそう不安をあおるそこは、
何もかもが未知の空間だった

ああ、そういえば…
と、ある場所で突然意識を失ったことを思い出す



白っぽい何かでも、影は真っ黒いんだな
そんなことをぼんやり考えていると、
突然、体に針が刺される

痛い!
そう叫んでも、彼らの様子は変わらない

周りを見渡すと、
大勢の仲間たちも同じように針を刺されている

針から伸びた管の先には透明な器があり
そこには大量の血液が溜まっている

気が遠くなった



次に目が覚めると、
そこは元の場所…
と、よく似た別の場所だった

水すら元の場所とは何かが違い、食事をする気も起らない
顔見知りもなく、体は重く倦怠感が抜けない

一体、どれだけの血液が抜かれたのだろうか
血液が抜かれた「だけ」だったのだろうか

今日はいったい何日なのだろう

無気力な私は、ただただ、海の底に沈んでいくのだった




※カブトガニの血液は、医療に役立つとか
 どっかの海岸で捕獲され血液を抜かれた後、
 元の海岸に戻されたカブトガニって、こんな心境?




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