落ちていくもの・・・
- カテゴリ:小説/詩
- 2020/09/06 00:31:24
悲しみの重さに耐えきれず
また星が一つ海へと落ちた
水しぶき一つ立てず
何一つ音もたてずに
それはオブラートに幾重にも包まれて
青い色以外本当の姿がわからない
砂浜に私の涙が落ちた
陸地から海に向かって吹く風が冷たい
私の嗚咽は波の音が消し去った
そして涙は砂浜に消えていった
私の想いはこんなにもはっきりと
浮かび上がっているのに
一つ一つ全てが周りから消えていく
この夏が終わってしまうように
うるむ景色の中に
また一つ星が海へと落ちて行った
静かに
そして無言で
海に何かを感じるのはそれなりの何かがあるのでしょう
遠い昔から人間の本能の中の何かが・・・
空とは違った感覚です
青空は清々しさ、解放感、希望、夢・・・
曇り空には重苦しさ、鬱陶しさ、儚さ、悲しさ・・・
海はそれらを全てひっくるめた感がありますね
人の心を包み込むような
潮の香、波の音
凪いでる海、怒っている海
心の鏡のような気もします
星の落ちるところはやはり海しかないのかもしれません
落ちゆくものは水色であり、空の星屑に例えられ、耐えきれず心から零れ落ちたのですね。
そんな夏の夕暮れが私にもありました。遠いふるさとの空の下でした。
言葉の語源に関する話は、お城跡にて時折師匠が語られます。
海は生みと読みを同じくするばかりでなく命の母でもあります。
心ここ(胸)に在りて息をしながら生き、あふれ出でて母のもとへと帰っていった。
まあ、たんなる屁理屈かもしれませんが、なにか感じて戴けたら幸いです。
自分ではこんなに想っているのに伝わらない
どうしたらいいのかわからない
そんな感じです
可能性が一つ一つはがれ去っていく・・・
そんな時の海の景色と波の音
空しいです
でもそれは今の瞬間
大切なのは次のステップかな
砂浜から海へ帰ってゆく涙。
去りゆく夏の後姿を想ってでしょうか?
それとも・・・。
落ちた星と同じで悲しみは人知れず一人きりで
消えてしまうものなのでしょうか・・・。